常磐道あおり殴打「やられたらやり返そうという動機は身勝手」 水戸地裁有罪判決

茨城県守谷市の常磐自動車道で2019年8月に起きたあおり運転殴打事件など3事件で、強要と傷害の罪に問われた会社役員、宮崎文夫被告(44)に対し、水戸地裁(結城剛行裁判長)は2日、懲役2年6月、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役3年8月)の有罪判決を言い渡した。
結城裁判長は起訴された3件のあおり運転について「危険極まりなく、やられたらやり返そうという動機は自己中心的で身勝手だ」と批判。常磐道での暴行についても「(暴行中に)被害者は後続車両に追突される危険があっても、回避できる状態ではなかった」と述べた。
量刑について結城裁判長は、被告が被害者らに弁償するなどしていることを重視し、同種事件の量刑傾向を踏まえた上で「社会的影響を加味して実刑に処すことは、公平性を逸脱しかねない」と説明した。また、被告の人格の偏りが事件に影響したと指摘し、その是正のためには保護観察に付すことが相当とした。
判決によると、被告は19年8月10日、常磐道上り線で普通自動車を運転中、別の車に運転を妨害されたと感じ、あおり運転を繰り返して停車させ、運転席の男性の顔を殴って全治1週間の傷を負わせた。同年7月23日には、愛知県岡崎市内の新東名高速道路、浜松市内の東名高速道路でも、後続車両の走行を妨害するあおり運転を繰り返した。
一連の事件は、道交法を改正して「あおり運転罪」を新設する前に発生しており、水戸地検土浦支部は、あおり運転では初とみられる強要罪を適用して起訴していた。弁護側は、強要罪の適用は罪刑法定主義などの基本概念を軽視していると反論していた。【川島一輝】