女子専門学生殺害、懲役19年判決…強盗殺人罪は「後に金品盗む意思生じた可能性」と認めず

東京都練馬区で2018年、交際相手の女子専門学校生を絞殺してキャッシュカードなどを奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた無職熊沢義信被告(29)の裁判員裁判で、東京地裁は2日、懲役19年(求刑・無期懲役)の判決を言い渡した。野原俊郎裁判長は「殺害時に金品を奪う目的があったとは言えない」として同罪の成立を認めず、殺人罪と窃盗罪を適用した。
判決によると、熊沢被告は18年11月29日頃、同区の学生寮で交際相手だった谷口夏希さん(当時20歳)と口論した後、首を絞めて殺害。谷口さんのキャッシュカードやクレジットカードを使って現金約16万円を引き出すなどしたほか、遺体をレンタカーに隠して12月9日まで山梨県や福島県などを転々とした。
公判で検察側は「経済的に困窮していた被告が、殺害のついでに金品を奪おうとした」と主張。しかし判決は、殺害から現金の引き出しまでに半日以上空いていたことなどから、「殺害後に金品を盗む意思が生じた可能性があり、強盗殺人罪には当たらない」とした。
一方、「無理心中をするつもりだった」とする弁護側の主張は、「被告が自殺を試みた形跡はない」と否定。「被害者の死を利用して窃盗などの犯罪を重ねており、強く非難されるべきだ」と述べた。