神奈川県座間市のアパートで2017年に9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(29)の裁判員裁判は6日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で、最初に殺害された同県厚木市の女性(当時21歳)の事件の証拠調べがあった。検察側は、ネット交流サービス(SNS)での白石被告とのやりとりの詳細を明らかにし、自殺を望んでいた女性が前向きな言動に変化した様子を示した。弁護側は、女性がつけていた死を望む内容の日記を示した。
検察側が示した無料通信アプリ「カカオトーク」の記録によると、女性は当初、白石被告に自殺を手伝ってほしいと頼んでいた。しかし、女性が預金について伝えた後は、白石被告が「頑張っていこうよ。自殺なんかしちゃだめ」などと励ますようになった。女性は「何とか生き抜こう」と応じ、その後は絵文字を多く使うなど、明るいやりとりが続いた。
事件現場となったアパートを借りる際に対応した不動産仲介業者の調書も朗読した。女性は白石被告を交際相手と言い、「これから頑張って働いてね」と話しかけていたという。
また、女性の母親の調書も読み上げた。女性は対人関係に悩んだ過去があったが、事件前には「立ち直ろうとしており、寄り添って暮らしていた」とした。
弁護側、被害女性の日記示して反論
一方の弁護側は、中学校時代からの友人の女性の調書を読み上げた。友人は「私がいじめを受けていた時も一緒にいてくれて守ってくれた。(女性は)将来は医療事務の資格を取ると話していた。直前も変わった様子はなく、亡くなったことを知り、死を受け入れられずに、何も手につかなかった」と思いを吐露していた。
自殺願望について苦しみをつづった女性の日記も読み上げられた。また、女性が被告とは別の男性とSNSで知り合い、亡くなる当日まで自殺に関するやりとりをしていたことも明らかにした。
検察側が、女性は事件時には「失踪を装って被告と新たな生活を始めよう」と考えていたと主張しているのに対し、弁護側は女性は殺害されることに同意していたと反論している。【林田奈々、安達恒太郎】