大阪都構想の是非を問う住民投票が12日、告示された。賛成多数となれば、大阪市は廃止され、東京23区と同じように区長や区議を選挙で選ぶ4特別区に再編される。都構想の協定書(設計図)は、東京都の特別区を前例として作られているが、吉村洋文・大阪府知事(大阪維新の会代表代行)は「東京の仕組みを修正し、よりメリットの多い設計になった」と自負する。具体的にどこが異なるのか。
東京と大阪の特別区で大きく違うのが事務の「権限」。東京は戦前の行政区が特別区に“昇格”し、都から徐々に権限を委譲されてきた歴史がある。1区当たりの人口は約6万~90万人と区によって異なり、担う仕事は「一般市並み」だ。
一方、大阪は政令指定都市の大阪市を人口約60万~75万人の特別区に再編する。地域実情に応じたサービスを提供するため、住民生活に密着した事務は特別区に振り分け、「中核市並み」のより幅広い権限を持たせる。東京では都が行うパスポートの交付や私立幼稚園の設置認可、身体障害者手帳の交付なども、大阪では特別区の仕事になる。
権限の違いは財政面に反映される。特別区制度(都区制度)では、府(都)と特別区で役割や事務量に応じて「財政調整財源」と呼ばれる税収を分けるが、特別区へ配分される割合は大阪の方が大きい。
東京の場合、配分割合は都が45%で特別区は55%。対する大阪は府が21%、特別区が79%で、さらに10年間は毎年度計20億円が府から4特別区へ追加配分される制度設計になっている。
財政調整財源は、東京は一般会計で他の都税と併せて管理するが、大阪では一般会計とは別に特別会計で管理すると協定書に明記。使途を「見える化」することで、透明性を担保する考えだ。
東京の特別区長会によると、配分割合の変更は大規模な税制改正など限られた場合のみで、特別区からは「もっと多く配分してほしい」との要望や不満が絶えないという。この点、大阪は毎年度、知事と4特別区長で構成する「都区協議会」で配分割合を協議。もめた場合は弁護士らでつくる第三者機関の調停をあおぐという、独自の仕組みを導入する。
松井一郎市長(維新代表)は「東京は都が広域行政の旗を振り、特別区が住民サービスに特化することで成長し、財政が豊かになった」と特別区制度の優位性を主張。「大阪は特別区に手厚い財政支援を行う特別区重視の制度設計だ」と訴える。一方、都構想反対派は、配分割合の最終決定権は府議会にあるとして「府の財政が厳しくなれば配分を減らされ、住民サービスが低下する恐れもある」と懸念を示している。