名物“オンボロバス”車検通らず引退の危機 現役続行へ大改修作戦 香川・女木島

あまりの古さに付いた呼び名は“オンボロバス”――。高松港からフェリーで約20分の女木島(めぎじま)(高松市女木町)を走る路線バスは、会員制交流サイト(SNS)で「本当に現役?」などと話題になってきた。だが2019年、故障や老朽化により車検が通らず運行不可能に。「島のためにもう一度走らせたい」と、所有する鬼ケ島観光自動車の福井隆之社長(74)は修理のための倉庫を用意し、大改修作戦を始めた。【西本紗保美】
オンボロバスは1984年製。同社は他にバス3台を所有し、桃太郎伝説が残る島内の鬼ケ島大洞窟と港を結ぶ約2キロの山道を、観光客らを乗せて運行している。2019年は瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)が開催されていたこともあり、ゴールデンウイークの10連休には4000人近くが乗車したという。
オンボロバスはこれまで一度も塗装を直しておらず、赤茶色のさびなど独特の雰囲気が受け、3年ほど前から口コミやSNSで人気となっていた。福井社長は「『オンボロが良い』と言われるので、必要最低限しか直してこなかった」と話す。だが、車体は激しく劣化し、オイルが漏れ、自動ドアの開閉も不能に。修理する部品が手に入らず、19年5月末で車検切れとなった。
別バスの部品使用も修理に1年
そこで、福井社長は同社の別のバスの部品を使って「レトロさを保ち、車検が通るギリギリのラインを目指す」作戦を計画。20年4月ごろ、修理をするため市内にバス2台を収容できる倉庫を購入するなど、これまで約5000万円を投じてきたという。
そんな中、同社が運行する別のバス1台について、利用者からの苦情を受けて四国運輸局が調査。「運転手の点呼記録が確実になされていない」「高齢運転手に適性診断を受けさせていない」など11項目に違反があるとして、同年9月末に130日間の使用停止処分を受けるなど、運営上の問題も浮上している。
オンボロバスの修理は約1年かかる見込みという。福井社長は「部品や改修費用より、バスごと買い替えるほうが安上がり。だが、女木島のためになるなら何とか修理を続けて、次回の22年の瀬戸芸に間に合わせたい」と語る。