「大阪都構想」で大阪市が四つの特別区に再編されれば、基礎自治体の数は四つに増え、選挙で選ばれる4人の特別区長が誕生する。特別区長は各自の判断で住民サービスを展開し、原資は自主財源と大阪府から配分される交付金で賄う。配分について府市は透明性を確保したとするが、府と特別区、特別区同士で「綱引き」が起こる懸念もある。自治体間の協議の場として新たに設置される「大阪府・特別区協議会」(仮)は果たして機能するのか。
協議会は、東京都と23区が主に交付金の配分(財政調整)を協議する「都区協議会」を参考に制度設計された。4特別区長と知事の5人が基本メンバーで、必要に応じて学識経験者らを加える。財産・債務や事務分担に関することも話し合われるが、東京と同様、財政調整が主な議題になると想定されている。
配分割合は協議会で毎年検証
都構想が実現した際の財政調整を巡っては、市から府の徴収に変わる法人市民税や固定資産税のほか、地方交付税などが府と4特別区に配分されることが決まっている。割合は、特別区移行前の2020~22年度の広域事業と住民に身近な事業の事業費割合の3年平均を基に条例で定める。16年度決算ベースではおおむね府が2割、特別区が8割になる。
配分割合は協議会で毎年検証され、状況に応じて変更される。府知事と特別区長4人が協議会で合意した上で、知事が条例改正案を府議会に提案。府議会の議決を得て初めて改正される。このため、知事と特別区長が同意しても、特別区選出の議員が3割しかいない府議会が条例案を否決することもあり得る。
特別区間の財政配分も問題の種になり得る。特別区が徴収する個人市民税や生活保護費などの歳出には特別区間の格差があり、交付金はこうした実態に応じて配分される。協議会では特別区間の交付金の交付基準についても毎年度精査することになっている。
人口や産業構造、ニーズも異なる4区の特別区長や府との協議がスムーズにまとまるかは不透明だ。協議が不調になった場合は、学識経験者らによる第三者機関を設置し、調停案を出す。それでもまとまらなければ自治紛争処理として裁判になることもある。都構想の立案に関わったある職員は「協議にどれくらい時間がかかるかさえ分からない。もめる要素が増えなければいいが」と今から気をもんでいる。【矢追健介】