新型コロナウイルス禍で地方財政が厳しさを増す中、自治体が税金で維持する公用車のあり方を巡り、議論が起きている。兵庫県では、知事や県議会の議長用の車として採用した高級車のリース料がそれまでの車種の1・5倍になり、県民らから「税金の無駄遣い」など、400件以上の苦情、批判が殺到。山口県では、高額で購入した公用車がほとんど使用されていなかったことが判明している。(山本貴広、石見江莉加)
兵庫県では昨年8月、知事と議長用の2台の公用車について、トヨタの高級車レクサスから最高級のセンチュリーに変更したことが今月の県議会で取り上げられている。レクサスの走行距離が県の規定を超え、燃費のいいハイブリッドのセンチュリーが販売されたのが切り替えた理由という。
センチュリーは昨年の天皇陛下即位のパレードでも使われ、菅首相の公用車としても知られる。
兵庫県では知事公用車や議長車はリース契約としており、この車種の変更によってリース料が1台あたり7年間で約1400万円から2100万円に増えた。
今回の契約はコロナ禍以前で、議会でも承認されていたが、県では今年度、コロナ禍で1000億円以上の減収を見込む状況となっており、9月の県議会では、複数の県議が「税収が減る中、ふさわしい価格の公用車なのか」などと質問。県担当者が「公務をこなすために機能性のある室内環境が必要」と釈明に追われた。
井戸敏三知事は19日の県議会で「広大な県土を走行できる馬力があり、高い安全性能を備えた車種。一方的議論が横行しているのは遺憾」と答弁した。
これに関連し、県には19日朝までに約450件の意見が殺到。「公用車としては高すぎる」など、批判や苦情ばかりで、県によると賛同意見は皆無という。
兵庫県議会で質疑になったように、公用車の使い方に注目が集まっているのは、山口県が7月、センチュリーを約2000万円で購入したことがきっかけだ。
山口県はそれまで、2002年度に皇族や要人が来県した際に利用する「貴賓車」としてセンチュリーを約1000万円で購入。07年度、13年度にも同車種を1台ずつ購入し、議長、副議長用に使用してきた。
今回の購入は、老朽化した02年度と07年度のセンチュリーを下取りに出し、新たな貴賓車を購入するとともに普段は議長や副議長も使えるようにしたものだ。
しかし県によると、02年度に購入したセンチュリーは運行記録の残る17~19年度の3年間で計13日しか走行しておらず、「経費削減の時代に逆行する」などとメディアで報じられた。