今年7月以降の自殺者が昨年より増えたのは、若手俳優の自殺報道が影響した可能性が高いとする中間報告を、自殺対策に取り組む厚生労働相指定法人「いのち支える自殺対策推進センター」(東京都)がまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、生活や雇用などで不安を抱えていた人にとって一つのきっかけになったといい、来年3月に最終報告をまとめる。
警察庁によると、今年7月の自殺者数は1818人(前年同月比25人増)。8月1854人(同251人増)、9月1805人(同143人増)と、いずれも昨年同時期に比べて増えていた。
同センターは、8月末までの自殺統計やネット検索のデータなどから自殺者の動向について分析。その結果、若手有名俳優の自殺報道があった7月18日以降の1週間は特に自殺者が増える傾向が見られた。報道後、相談機関には「心が揺れて怖い。自分も自殺してしまう」「ニュースを見て死にたい気持ちが呼び起こされた」といった声が寄せられたという。
7月からは女性の幅広い世代で自殺の増加が目立った。同センターが性別や同居人、職業との関連で調べたところ、同居人がいる女性と無職の女性の自殺死亡率が前年より上昇。その理由として「経済や生活の問題、ドメスティックバイオレンス(DV)被害や育児の悩みなどもあり、新型コロナの影響で問題が深刻化している可能性がある」と指摘した。
また、8月には女子高生の自殺者が増加。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の相談では「クラスが替わり、なじめずつらい」、「(新型コロナの影響で)母がずっと家にいてイライラしており、自分がストレスのはけ口にされている」といった声があり、生徒が問題を抱え込んでいる可能性があるという。
同センターの清水康之代表理事は「今後も自殺者数は増加しかねない。悩んでいる人は周囲や相談窓口に相談してほしい」と訴えた。【村田拓也】
相談窓口
いのちの電話相談
0570-783-556=ナビダイヤル 午前10時から午後10時まで
自殺予防「いのちの電話」
0120-783-556(なやみこころ)=毎月10日(午前8時から~11日午前8時)にフリーダイヤルの電話相談
日本いのちの電話連盟はこちら(http://www.inochinodenwa.org/)
全国のいのちの電話はこちら(http://www.inochinodenwa.org/lifeline.php)
東京自殺防止センター(NPO法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センター)
03-5286-9090=年中無休、午後8時~午前5時半(毎週火曜日は午後5時~午前2時半、毎週木曜日は午後8時~午前2時半 http://www.befrienders-jpn.org/)
児童相談所全国共通ダイヤル
189=年中無休、24時間
24時間子供SOSダイヤル
0120-0-78310(なやみ言おう)=年中無休、24時間
チャイルドライン
0120-99-7777=月~土曜日の午後4~9時(18歳まで)
子どもの人権110番
0120-007-110=平日午前8時半~午後5時15分