山形県内で26日、クマの目撃が相次ぎ、川西町で女性が襲われてけがをした。全国各地でクマに襲われる被害が多発し、県内でも、今年の目撃件数が昨年1年間の合計を上回った。市街地に出没した例もあり、県などが注意を呼びかけている。【的野暁、佐藤良一】
米沢署などによると、26日午前9時30分ごろ、川西町時田の自宅前で落ち葉を掃いていた須藤てる子さん(70)が、クマに襲われて左太ももを4カ所かまれた。須藤さんは、病院に搬送されたが自力歩行が可能で、命に別条はなく軽傷という。
クマは体長約1メートルで、同署や町役場、猟友会などが警戒している。現場近くの中郡小は、下校時に保護者が迎えるよう連絡した。
県警によると、この日は、この他に午後5時現在、小国町▽鶴岡市▽舟形町▽飯豊町――の1市3町で、体長約50センチ~約1・5メートルのクマが目撃されたが、いずれもけがはなかった。
今年すでに608件 過去10年で最多
県によると、県内の今年のクマの目撃件数は今月21日現在、608件で、昨年1年間の目撃件数(450件)を上回り、過去10年で最多になっている。
今年に入り、既に大半の市町村で目撃され、地域別では、置賜地域の287件が最多で、庄内地域の178件が続く。置賜地域では、高畠、白鷹両町を除く6市町で昨年を上回り、小国町は昨年の4倍超の67件。庄内地域でも鶴岡市で、昨年を42件上回る110件となるなど、同地域全体では昨年より69件多くなっている。
人的被害は、5月以降、長井、米沢、鶴岡、川西の3市1町で計5件。
県みどり自然課によると、県内で餌となるブナが、今年度ほぼ全地点で凶作となる見込み。「例年以上に危険性が高い。外出の際はクマよけの鈴やラジオを流して歩くなど注意してほしい」と呼びかけている。【的野暁】