部活で川に落ちたボール拾おうと転落死、両親が県を提訴

石川県立金沢西高校の野球部員だった松平航汰さん(当時15歳)が2017年11月、部活動中に川に落ちたボールを拾おうとして転落し死亡した事故を巡り、指導教員らに注意義務違反があったとして、両親が27日、県に慰謝料など約5450万円の損害賠償を求める訴訟を金沢地裁に起こした。
訴状によると、事故は同年11月5日午前、同校近くの新大徳川で発生。松平さんは野球部の練習試合中、川に落ちたボールを拾おうとして岸辺の柵を乗り越え、足を滑らせて川に転落した。松平さんは意識不明の状態で病院に搬送され、2日後に死亡した。
両親側は「指導教員らは生徒を監督指導し、事故の発生を防止して生命・身体を保護する注意義務を負う」と主張。その上で、当時の野球部の監督と部長、副部長の3人が「川に落下したボールの回収をやめさせたり、危険な取り方をしないようにルールの徹底を含めて指導したりしていれば、事故は起きなかった」としている。
読売新聞の取材に対し、松平さんの父忠雄さん(49)は「県が管理する学校で起きた死亡事故の責任を誰も取らないのはおかしい。安全管理がなされていなかったことを認めるべきだ」と話した。
一方、県教育委員会教職員課の中村義治課長は「訴状が届いていないので、コメントできない」としている。
この事故を巡っては、当時の野球部の監督ら3人が業務上過失致死容疑で書類送検されたが、金沢地検が昨年8月、いずれも不起訴(嫌疑不十分)としている。