石炭火力発電の運転停止認めず=人格権侵害「顕著と言えず」―仙台地裁

2017年に運転を開始した仙台市宮城野区の石炭火力発電所「仙台パワーステーション」が健康被害をもたらす恐れがあるなどとして、近隣に住む住民124人が運転差し止めを求めた訴訟の判決が28日、仙台地裁であり、中島基至裁判長は原告側の請求を棄却した。
中島裁判長は「発電所が環境について情報公開などを怠ったことは周辺自治体と結んだ公害防止協定に違反する」としつつも、「違反が人格権に由来する平穏生活権を侵害するほど顕著とは言えない」とした。
原告によると、石炭火力発電所単体の差し止めを求める訴訟は全国初。原告側は「生命や身体に関わる人格権や平穏生活権を侵害する」などと主張していた。
原告団長の長谷川公一さん(66)は「裁判長が発電所の公害協定違反を認め、『発電所は地域住民の不安を解消するよう努める社会的責任を負う』と明言したことは良かった」と判決を一部評価した。
同発電所を運営する仙台パワーステーション(同区)は「主張が認められたと認識している。引き続き環境保全に万全を期しながら、安全を最優先に発電所の運営に努める」とコメントした。
[時事通信社]