「泣きやまないので首絞めた」 容疑者、殺害認める供述 東京・新橋の乳児遺棄

東京・新橋の公園で2019年に生後間もない乳児の遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された母親の衣料品販売員、北井小由里(さゆり)容疑者(23)=神戸市西区=が「泣きやまないので、口にティッシュを詰めて首を絞めた」と殺害を認める供述をしていることが、捜査関係者への取材で判明した。警視庁愛宕署捜査本部は、予期しなかった妊娠に対処できず殺害したとみて経緯を調べている。
北井容疑者は19年11月3日夜、東京都港区東新橋1の区立イタリア公園で、植え込み付近の土の中に遺体を埋めた疑いがあるとして逮捕された。当時は兵庫県内の私立大4年生で、同日に就職活動のため神戸空港から羽田空港に到着していた。「航空機の中で激しい腹痛に襲われ、着陸後に急いで空港のトイレに行って出産した」とも供述しているという。捜査本部は出産直後に殺害し、その日のうちに手提げ袋に遺体を入れて公園に運んだとみている。
捜査関係者によると、北井容疑者は同年9月に神戸市内の産婦人科を初めて受診した。妊娠27週と診断され、母体保護法で定められている人工妊娠中絶を受けられる期間(22週未満)を過ぎていた。12月が出産予定日だったが、通院せず同市に妊娠届も出していなかった。「シングルマザーで育てていけるか葛藤したが、就職活動で頭がいっぱいで誰にも相談しなかった。赤ちゃんには申し訳ないことをした」と供述しているという。【土江洋範、最上和喜、鈴木拓也】
「0日児」死亡は虐待の典型例 「妊娠期からの相談態勢充実を」
厚生労働省によると、2003年7月~19年3月に虐待で死亡した18歳未満の数は833人に上る。年齢別では0歳児が最も多い395人(47%)だった。中でも、今回の事件のように生後24時間もたたずに死亡した「0日児」は156人で約4割を占めた。
0日児の死因は、口を塞ぐなどの窒息(33%)が最多で、背景には予期しない妊娠という事情があるとみられる。北井小由里容疑者=死体遺棄容疑で逮捕=について、警視庁は女児を出産した直後に窒息させて殺害したとみている。
予期しない妊娠に悩む女性の相談を24時間態勢で受ける一般社団法人「小さないのちのドア」(神戸市)の永原郁子代表理事は、北井容疑者について「何をしていいか分からず時間だけが過ぎる一方、不安と恐怖が募っていったのではないか」と推測する。「子どもに愛着を持てず『邪魔な存在』と考えるケースが多い。行政は妊娠期からの相談態勢を充実させてほしい」と訴えている。【土江洋範】