「急速な感染拡大に至る可能性高い」 コロナ分科会緊急提言 クラスター対策強化など

北海道で200人の新型コロナウイルス感染が確認されるなど全国的に感染拡大傾向がみられる中、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(会長=尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)は9日、緊急提言をまとめた。「社会経済活動が徐々に戻る中、適切な感染防止策が講じられなければ、急速な感染拡大に至る可能性が高い」とし、踏み込んだクラスター対策や水際対策の強化などを求めた。
緊急提言では、この冬も社会経済活動と両立できるよう、国民や自治体、国に求められるものとして▽踏み込んだクラスター対応▽対話のある情報発信▽店舗や職場などでの感染防止策の確実な実践▽国際的な人の往来の再開に伴う取り組みの強化▽感染対策検証のための遺伝子解析の推進――の五つをまとめた。
クラスター対応では、接待を伴う飲食店や外国人コミュニティー、大学や職場などクラスターの特徴に応じた効果的かつ効率的な対策を実施するよう要請。冬に向けて、寒冷地の感染防止策のため、飲食店で二酸化炭素濃度を観測するなどの具体的指針を示すことを促した。さらに水際対策では、自治体が入国後の外国人をフォローアップできる仕組みを検討し、外国人を受け入れる医療機関への支援強化を求めている。
緊急提言ではさらに、これらの対策を取った上でも、感染状況ごとに分類した四つのステージのうち、感染者が急増している「ステージ3」相当以上と判断された場合には「社会経済活動に一定の制約を求めるような強い対策を行う必要があることから、国民が一丸となって対策を進めていく必要がある」とした。【金秀蓮、村田拓也】