山口県の周防大島町地家室沖に群生するニホンアワサンゴが大量に死滅しているのが見つかり、環境省中国四国環境事務所広島事務所は現状把握のため、11月中旬にも現地調査する。
地家室沖には約3000平方メートルの群生地がある。国内最大規模とされ、2013年には瀬戸内国立公園内で初めて海域公園地区に指定されている。
環境省自然公園指導員で、10年以上にわたり現地で観察を続ける藤本正明さん(66)が9月下旬、一部が白化して、死滅し始めているのを見つけた。10月上旬には水深6~10メートルを中心に群生地全体の7割程度が死滅して蜂の巣状の骨格だけになっていたという。
ニホンアワサンゴは8~10月が産卵期。産卵期や産卵後、一部がストレスから白化して光合成ができなくなり、死滅することがある。ただ、藤本さんは「これだけ広い範囲でたくさんのサンゴが死滅するのは初めてだ」と話す。
10月下旬には死滅の広がりは収まり、今季産卵で放出された幼生が海底に定着しているのも確認された。藤本さんは「大量死は終息したが、群生地が元に戻るのには数年かかる」と今後も注意深く観察を続けていく。【大山典男】