ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)が2018年に実施したドンキホーテHD(現・パン・パシフィック・インターナショナルHD)の株式公開買い付け(TOB)を巡り、公表前に同社株の購入を不正に勧めた疑いがあるとして、東京地検特捜部がドンキHD前社長(57)らから複数回にわたり、任意で事情聴取したことが関係者の話でわかった。
関係者によると、前社長は、ユニー・ファミマHD(現・ファミリーマート)による18年10月11日のTOB公表前、知人男性にドンキ株の取引を勧めた疑いが持たれている。ドンキの株価は前日終値の1株6050円から、TOBの公表当日の11日には6680円になり、上昇傾向となった。男性は親族とともに買い付けた株を公表後に売却し、男性だけで6000万円を超える利益を得たという。
TOBは、ユニー・ファミマHDがドンキ株約3210万株を約2100億円で取得する一方、傘下のユニー株を売却してドンキHDの完全子会社にする内容だったが、不調に終わった。
前社長は19年9月に辞任。証券取引等監視委員会は同年11月に金融商品取引法違反容疑でドンキHDの本社などの強制調査を実施。特捜部は10日までに複数回、前社長や男性らから任意で事情を聞いたという。同法では、企業の重要事実を知った幹部らが、公表前に株取引を行ったり、他人に情報を伝えたりする行為のほか、重要事実を伝えずに株取引を勧める行為もインサイダー取引規制の対象としている。