和歌山市のコロナ対策商品券、盗難相次ぐ ポストから抜き取りか

新型コロナウイルスの経済対策として和歌山市が全市民に郵送した商品券に、盗難被害が相次いでいる。和歌山県警によると、被害届は19日現在で約120件に上っており、県警は窃盗事件として捜査。郵送後のポストから何者かに抜き取られた可能性が高く、アパートなどの集合住宅で盗まれたケースが多いという。受領印や署名の必要がなく、郵便箱に配る「特定記録」の方法が狙われた格好で、市幹部は「結果的に多くの盗難が確認され、市民に迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪している。
商品券は、市民1人あたり3千円分の「地域ささえ愛商品券」。10月に約17万6千世帯に郵送した。
市によると、郵送方法については、特定記録にするか、対面の手渡しで受領印や署名も必要な簡易書留にするか、事前に検討。和歌山中央郵便局とも協議した結果、簡易書留にすると郵送完了までに時間がかかることも想定されたため、特定記録に決めたという。
市の担当者は「簡易書留では不在の場合、市民が窓口で受け取る必要があり、大勢詰めかければ新型コロナの感染リスクもあった」と説明する。
ただ特定記録は、配達先を記録する一方、郵便箱に入れるだけで受領印や署名も不要なため、配達後にポストから抜き取られる盗難防止には役立たない。
市では、こうした盗難も想定し、商品券ごとに配布先の市民を判別できる8桁の管理番号を割り振り、印刷していた。
市によると、商品券は利用先の店舗から最終的に市側に返却されるため、管理番号があれば、利用した日時を特定できる。商品券の不正使用があれば、市が県警に被害届を出す際の証拠にもなり、犯罪抑止効果にもつながると考えていたという。
郵送前には、市の広報紙「市報わかやま」で、商品券と対象市民を管理番号で紐(ひも)づけしていることも周知した。
一方、和歌山中央郵便局も配達が始まる10月以降について、県警にパトロール強化を依頼していた。
しかし結果的に盗難被害が続出。市が設置するコールセンターには11月18日現在、商品券に関して計1699件の問い合わせが寄せられており、中には「まだ届いていない」「いつ郵送されるのか」などの確認や苦情も含まれるという。
市では、現状で未配達の世帯については、盗難されて気付いていない可能性もあるとみて、確認の周知徹底を呼びかけることなども検討している。

商品券を配るような同様の事例の場合、県内の他の自治体は、さまざまな対策も講じている。
御坊市では、1人あたり1万円分の商品券「あがらの御坊みんなで応援商品券」を9月初旬から発送した。市によると、対象は約1万820世帯。5人家族の場合は5万円分を受け取れる。
盗難などの対策として、市は配布の手段に、対面で届けて、本人や家族の受領印や署名が必要な日本郵便の「レターパックプラス」を利用した。
窃盗被害など万一の場合は賠償する「書留」の封筒では、商品券が入り切らないことも考慮したといい、担当者は「現金を配るのと同じという認識」と話す。
一方、橋本市では、1世帯あたり3千円分の「橋本市生活応援クーポン券」を第1弾として6月に配布した。
市によると、対象は約2万8千世帯。当時は、全国で緊急事態宣言が5月25日に解除された直後の時期にあたり、「急を要する」ととして、郵便局員が各世帯のポストに直接投函(とうかん)する方式を採用した。
市や橋本署によると、この際は盗難被害は確認されなかった。
市は、10月中旬から第2弾の配布も始めた。ただ、金額を1人あたり5千円分に増やしたことから、確実に届けて盗難被害などを防ぐため、玄関先で対面で手渡し受け取り時にサインや印鑑が必要な「簡易書留」方式に変更した。