鹿児島5人殺害 被告の伯父が証人出廷 妻ら犠牲に「憎しみでいっぱい」

2018年に鹿児島県日置市の民家で家族ら男女5人が殺害された事件で、殺人と死体遺棄の罪で起訴された無職、岩倉知広被告(41)の裁判員裁判の第2回公判が19日、鹿児島地裁(岩田光生裁判長)であった。妻と妻の姉が犠牲となった岩倉被告の70代の伯父が証人として出廷し「極刑を望みます」と訴えた。
事件では、伯父の妻の岩倉孝子さん(当時69歳)と孝子さんの姉坂口訓子さん(同72歳)は、岩倉被告の祖母久子さん(同89歳)宅に、久子さんと被告の父正知さん(同68歳)の安否確認に来て、殺害された。
この日、証言台に立った伯父は、はっきりとした大きな声で被害者の人柄をそれぞれ語った。久子さんについては「優しく厳格な人だった」、正知さんのことは「15~20年前に足を骨折して引きずっていたが、仕事熱心な人だった」と振り返った。坂口さんについては「思いやりのある優しい人だった」と語り、孝子さんらの後に安否確認に来て殺害された近所の後藤広幸さん(当時47歳)は「(仕事の)同僚で、人懐っこい人だった」と惜しんだ。
また、孝子さんのことを語った際は「一緒に旅行に行こうと話していたのに、もう会えない」などと話し声を詰まらせる場面もあった。事件当時について、伯父は、仕事で県外にいたため孝子さんと後藤さんに久子さん宅へ安否確認を頼んだのは自分だったと明かし「自分が行っていれば」と無念さをにじませた。そして、岩倉被告に対して「憎しみでいっぱい。極刑を望む」と述べた。
弁護側は、岩倉被告が10年以上前から発症していた「妄想性障害」の影響で殺害した正知さん以外の4人が「自分を迫害する一派」だと思い込んでいたとし、出廷した伯父にも岩倉被告に対する嫌がらせ行為などの有無を確認したが、伯父は「想像もつかない。覚えがない」と話した。
起訴状によると、岩倉被告は18年3月31日夜~4月1日朝、久子さん宅で、正知さんと久子さんの首を絞めて殺害し、遺体を近くの山林に遺棄。同月6日午後には、久子さん宅に2人の安否確認に来た伯父の妻孝子さんと孝子さんの姉坂口訓子さん、近所の後藤広幸さんの首を絞めて殺害したとされる。【白川徹】