北海道医師会などは14日、札幌市中央区で緊急の記者会見を開き「一部で医療崩壊が始まっている」として独自の「医療緊急事態宣言」を発表した。医師会の長瀬清会長は、全都道府県を対象とした旅行需要喚起策「GoToトラベル」の一時停止について「遅すぎる。経済も重要だが、生命と健康が一番大切だ」と強調した。
宣言の背景には、札幌市や旭川市の医療機関でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、両市で病床が逼迫(ひっぱく)している事態に加え、多くの医療機関が休診する年末年始に感染のピークを迎えることへの懸念がある。道医師会や道病院協会などの病院団体は14日に連携協議会を開き、こうした現状を踏まえ、宣言を出すことにしたという。
宣言は「医療機関や保健所職員の心身の疲労はすでに限界に達している。入院用の空床が札幌、旭川などを中心に非常に少なくなってきており、一部では医療崩壊が始まり、自衛隊の災害派遣が行われている地域さえ出ている」と指摘。「これ以上、負担が増えることになれば、皆様の健康、生命を守れなくなる。危機的状況がすぐ目の前に迫ってきている」としている。
長瀬会長は「看護師の中には家族に(コロナを)うつさないようにと車で寝泊まりしたり、ホテルに泊まったりしている人もおり、肉体的、精神的に圧迫されている」と説明。「皆さんの一人一人の行動にかかっている。今ならまだ間に合う」と呼び掛けた。
一方、宣言は「個人の努力だけに頼るステージは過ぎた」とする政府専門家会議の指摘に触れた上で「政府や自治体の対応は鈍く、医療提供者にとっては納得できない」と強く批判した。【土谷純一】