2019年7月に発生し、平成以降最悪の36人の犠牲者を出した「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、京都地検は16日、青葉真司容疑者(42)を殺人や現住建造物等放火などの罪で起訴した。地検は、刑事責任能力の有無を調べるために11日まで約半年間にわたって被告を鑑定留置し、責任能力を問えると判断した。今後は公判前整理手続きを経て、裁判員裁判で審理される。
起訴内容は19年7月18日午前10時半ごろ、京アニ社員計70人がいた第1スタジオに侵入し、ガソリンをまいてライターで放火。36人を殺害し、34人に重軽傷を負わせるなどしたとしている。地検は認否を明らかにしていない。
事件直後、京都府警に身柄を確保された青葉被告は、自らも全身の9割に重いやけどを負って10カ月間入院。当初は重篤な状態だったが、会話ができるまでに回復したとして、20年5月27日に逮捕・送検され、被告のために医療設備を拡充した大阪拘置所に勾留されている。
捜査関係者によると、青葉被告は調べに「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」などと容疑を認めている半面、動機には不可解な点が残る。「京アニに小説を盗まれた」と逮捕前から一貫して供述し、複数の京アニ作品が自分の作品の盗作だと主張。長短編小説などを応募しているが、盗作の事実はなく、地検は京アニへの恨みを一方的に募らせたとみている。事件3日前に京都入りする直前には、さいたま市の自宅アパートで隣人とトラブルを起こすなど、精神的に追い込まれた様子だったという。
こうした状況から、地検は刑事責任能力を調べる必要があると判断。専門医らによる精神鑑定の結果を踏まえ、起訴を決めた。【千葉紀和、添島香苗】