埼玉県内で新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている71カ所の医療機関で、12月10日現在の病床使用率が0~100%と大きくばらつきがあることが、毎日新聞が入手した県の内部資料で判明した。また県が「すぐに入院可能」としている1211床のうち、実際には「受け入れ不可」と県の担当者に報告された病床も複数あり、医療関係者からは「県の数字は現実的ではない」との指摘も上がっている。【鷲頭彰子】
“即応”の68床「受け入れ不可」
この資料は、新型コロナ入院調整を一手に担う県の調整本部が各医療機関からの報告をもとに日々まとめているもので、各病院の専用病床数▽重症者数など症状ごとの患者数▽空床数▽受け入れ要件――などが記載。患者の症状に応じて入院先をスムーズに探せるようになっている。
毎日新聞が入手したのは12月1~10日の資料。資料によると、10日間のうち7日間が満床で平均使用率が97%に上る医療機関があるほか、同84%、同73%の医療機関も1カ所ずつあった。
一方で54床を確保済みとしている県立がんセンター(伊奈町)の使用率は、期間中ずっと「0%」のまま。10日時点の資料には「病床準備中のため受入れ不可」(原文まま)との記述があった。同センターの担当者は取材に「通信設備や病床の仕切りなど、準備できていなかったところもあった。県立病院では、まずは循環器・呼吸器病センター(熊谷市)で受け入れてからという話を調整本部としていたので、『不可』と書いてしまった」と説明。この記述は11日に削除したという。
ただし、その循環器・呼吸器病センターの病床数は101床で、10日間の平均使用率は35%にとどまっている。
病床使用率にばらつきがあることは県議会でも話題になり、関本建二・保健医療部長は14日の福祉保健医療委員会で「ばらつきがあるのは事実。できるだけ分散させるオペレーションを努力している」と答弁した。
一方、県は1211床について、すぐに入院できる「即応病床」として公表しているが、10日時点の資料によると、他にも「看護師の産休・育休等による休業者が多数おり人員不足のため稼働ができておりません」との記載や、「陰圧装置(HEPAフィルター付き空気清浄機)が未納の為(ため)入院不可」との記載もあった。全体の5%にあたる計68床が、何らかの理由で受け入れ不可となっていた。
県は13日時点での病床使用率を55・2%、うち重症者用の使用率は33・3%と公表しているが、実際にはもっと数値が高い可能性がある。ある現場の医師は「受け入れ能力を超える病床数の確保を県から求められている医療機関もあるのではないか。県の数字よりも医療現場は逼迫(ひっぱく)している」と話す。