新型コロナウイルス感染は岡山や広島、高知などの地方都市でも深刻化している。政府は旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業を28日から全国一斉停止としているが、医療機関が手薄になる年末年始には帰省客も見込まれ、不安は高まる。知事らからは「医療崩壊に近い」との悲鳴や帰省自粛を求める声が上がり、政府の対策の遅れへの不満もくすぶっている。
岡山は独自の「医療非常事態宣言」
岡山県では10月下旬から各地でクラスター(感染者集団)が続発。12月は11日以降に12件が確認され、新規感染者は20日に100人を突破した。確保した病床の使用率は15日時点で47・7%で、その後に50%を超えたとみられる。伊原木隆太知事は21日に臨時記者会見を開き、独自の「医療非常事態宣言」を発表。対策が不十分な状況での宴会や飲食、カラオケをやめるなど、リスクが高い行動の抑制を求めた。知事は「今後、入院できずに亡くなる患者が出る可能性がある」、同席した県医師会の松山正春会長も「医療崩壊は近い」と訴えた。
伊原木知事は22日の定例記者会見でGoToの全国一斉停止について「感謝しているが、もう少し早く止めてもらったら、ここまで(感染者が増える事態)にならなかった」と言及。「(県内で)春、夏に通用した対策がうまくいっていない。違うやり方をしなければ大変なことになる」と改めて強調した。
クラスター多発で感染者急増
広島県では12月に広島市の感染者が急増。9~15日の1週間に確認された人口10万人当たりの新規感染者は38・93人と、大阪(33・61人)など他の19政令市を上回った。その後も増加傾向は止まらず、17日に過去最多の96人を記録した。
背景にあるのは、やはりクラスターの多発だ。広島市内で12月21日までに確認された18件中10件は飲食店で発生。県は同市中心部の飲食店などに17日~1月3日の営業時間短縮を要請している。
GoToの全国一斉停止に先立ち、広島市が目的地の旅行は12月16日から対象外とされたが、県は同市を往来する帰省の自粛も要請。湯崎英彦知事は「大変寂しいが、命と健康を守るため協力を」と訴える。
高知県でも12月以降に感染が急拡大し、15日の新規確認者数が36人と過去最多を更新。県の計算では22日の病床使用率は68・5%に上る。県独自の対応目安では5段階のステージのうち上から2番目の「特別警戒」となっており、県内全域の飲食店などに16~30日は午後8時までの時短営業を要請。「症状がある人は県内への帰省を避けてほしい」と呼び掛けている。
初詣客の分散促し
石川県では22日時点で重症者はいないが、新規感染者が連日確認されており、首都圏や近畿地方などからの帰省客が増える年末年始への警戒感は強い。帰省について谷本正憲知事は「控えることも含め、慎重の上にも慎重に判断をしてほしい」と話す。三が日に初詣客が集中するのを緩和するため、12月28日と1月4日に出勤する県職員を半数にして1月4~8日に1日以上の有給休暇を取ってもらい、初詣の分散を促す。【戸田紗友莉、益川量平、小山美砂、松原由佳、深尾昭寛】