GoTo停止でキャンセル続出の観光業 長野は県民限定の宿泊割引に活路

新型コロナウイルスの感染拡大で政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業が28日から来年1月11日まで全国一斉に一時停止となり、長野県内の観光業が打撃を受けている。年末年始のかき入れ時のキャンセルが相次ぎ「死活問題だ」と悲鳴が上がる中、県は県民を対象に「GoTo」停止期間中の宿泊料金を割り引く「県民支えあい 家族宿泊割」を実施。宿泊業の経営者らは県内客に活路を見いだそうと対応に追われている。【駒木智一】
ホテル独自策断念
茅野市・車山高原のホテル「リゾートイン・ミスティ」では、「GoTo」停止発表以降にキャンセルの電話が相次いだ。29日から1月3日までは予約で満室だったが全てキャンセルとなり、他の停止期間中も大半がキャンセルになった。新規の予約はほとんどなく、客足は戻らないままだという。オーナーの江口朋浩さん(55)は「発表からしばらくはかかってくる電話が全てキャンセルの電話だった。電話に出るのも怖かった」。ホテルでは通常、宿泊の3週間前に宿泊客用の食材を発注するため、このままでは用意した食材も無駄になる。江口さんは「年末年始は目前に迫っていて、どこまで客足が戻るか不安ばかりだが、少しでも利用者が増えれば」と県の「家族宿泊割」に期待する。
例年の年末年始であればスキー客でにぎわう志賀高原(山ノ内町)。同町の旅館「島屋」は期間中はほぼ全ての日で12部屋が予約で満室だったが、現在はキャンセルが相次ぎ、予約が埋まっているのは各日2部屋以下。7代目若旦那の湯本宏行さん(37)は「感染対策は万全を尽くしているが、県外のお客様が見込めないなら、県内のお客様を呼び込みたい」と話す。
同町の「志賀パレスホテル」では23日までに400人のキャンセルがあったという。ホテル独自に割引を継続することも検討したが「感染拡大を防ぐという趣旨に反し、独自の割引は『GoTo』の対象から外される可能性を事務局から示唆された」として断念。年末年始の繁忙期に住み込みのアルバイトを雇うことも決まっていたが「今更断ることもできない。客足が戻らなければ仕事は減るが、休憩時間を多くして対応する」という。
スキーリフト券も
志賀高原横手山・渋峠スキー場では「家族宿泊割」に合わせて制度の利用者を対象にリフト券の割引を急ぎ決めた。スキー場の小口喜久統括部長は「周辺の旅館の中にはキャンセルが9割にも上ったところがあると聞く。宿泊施設あってのスキー場なので、地域全体で盛り上がれるように連動しての割引販売を決めた」と「家族宿泊割」効果を期待している。

「家族宿泊割」は県民が同居家族だけで宿泊施設を利用する場合に適用する。1人1泊5000円以上1万円未満の場合は3000円、同1万円以上の場合は5000円を割り引き、1回の旅行で2泊が上限。対象期間は28日から1月11日までで、県に制度の利用を申請した宿泊施設が対象になる。