茨城【年の瀬記者ノート】土浦市役所でクラスター、感染拡大 認識の甘さ露呈

「土浦市役所は大丈夫なの?」-私が市民からこの秋以降、最も受けた質問だ。市職員による新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、一部窓口業務を閉鎖するなど市民や利用者に大きな影響を与えた。
市は今月18日、クラスターが発生した経過や再発防止策を記した報告書を公表した。これまでの取材や報告書によると、職員に感染が広がった要因として、最初に感染が判明した職員は11月6日、同市桜町の居酒屋に出向き、職員6人で会食。この6人の中に体調不良で休暇を取った後、症状が改善したとして出勤した職員や無症状で出勤を続けた職員がいたことで、他の職員にも感染が広まった可能性が高いとしている。これにより約730人の職員がPCR検査を実施し、11月15~20日に計21人の感染を確認した。
市は感染者の多くが勤務していた本庁舎4階の窓口業務を11月16~30日閉鎖した上で、電話などでの対応のみとした。4階は道路管理課や都市計画課、建築指導課などがあり、行政書士や住宅会社らも窓口を多く利用する。当時、市内の住宅会社に勤務する男性は「土地の境界線は細かい部分があるので、直接のやりとりがないと間違いが出てしまう。電話では難しい」と戸惑いを隠さなかった。
職員も混乱していた。市が職員の感染を把握したのは11月15日。だが、新型コロナの対策本部を開いたのは翌16日と対応の遅さと認識の甘さが問われる事態となった。
ある幹部は「きょう何人の感染が判明したのか上から話が下りてこない。翌日の朝刊で初めて知った」と市の情報伝達の遅さに困惑した。「次は誰が感染するのかと不安で、仕事に力が入らない」と話す中堅職員もいた。市民の中には「市役所でも(隣接地域の)桜町のキャバクラ店でもクラスターが発生し、周辺には近寄れない」と怖さを抱く声も多かった。
安藤真理子市長は11月27日の記者会見で「市民の安全安心を守るため感染症対策の模範となる立場の市役所でこの事態を招いたことを深く反省している」と陳謝した。
報告書では再発防止策として体調不良やかぜなどの症状がある場合には医療機関を受診して、速やかに所属長に報告。医師の指示により自宅待機または分散勤務などで対応するなどの基準を設けた。ほかにはマスクを外しての会話は厳禁とし、共有物のコピー機やパソコンについて、誰がいつどのように消毒するのかを事前に決めておくよう定めた。庁舎内には感染対策を促す啓発ポスターも設置した。
市新型コロナ感染症対策本部は「感染対策防止策を遵守して二度とクラスターを発生させないように対応を徹底していく」と話している。
私自身も感染症対策に努めた。除菌スプレーを服の上から全身に吹きかけ、帰宅後すぐに洗濯機と浴室に直行する。手洗いや消毒のし過ぎで手荒れも発生した。これは自分や家族を守るため、現在も続けているが、疲れもたまる。
「明日はわが身」の側面も持つ新型コロナだが、職員一人一人が感染症対策を徹底することが、市民の暮らしを守ることにつながるのではないだろうか。(谷島英里子)
【再録】 土浦市役所本庁舎で職員のクラスターが発生し、これまでに勤務する21人が感染した。このため感染者の多い4階の窓口業務を11月16~30日に閉鎖するなど、市民や利用者に大きな影響を与えた。(18、19日付)