コロナ変異種、検疫すり抜け「市中感染」拡大か 英から帰国の男性と会食の2人陽性 別の変異ウイルスも…「ザル入国」危うさ露呈

新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、英国や南アフリカなどで見つかり、強い感染力を持つ変異ウイルスが日本国内でも市中感染している疑いが強まった。帰国者や濃厚接触者計34人の感染が確認されているが、無症状者を通じて空港検疫をすり抜けた例もあり、水際対策の限界を露呈した。変異ウイルスは少なくとも50カ国・地域に広がっており、政府は中国や韓国を含むビジネス入国者へのPCR検査を義務付けたが、対応は十分なのか。
日本では南アフリカで見つかった別の変異種への感染に加え、ブラジルからの帰国者にさらに別の変異ウイルスも確認された。他のウイルスと同様、新型コロナも複数の変異が起きることで感染が拡大することが懸念されている。
日本政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長も「流行すると、極めて危機的な状況が起こる」と警戒感を示す。日本で感染が確認されたのは昨年12月1日以降の帰国者らで約7割に当たる23人が無症状だった。
厚生労働省によると、12月22日に英国から帰国した東京都内の男性は空港検疫で陰性となり、14日間の健康観察期間中に10人が参加する会食を行っており、うち2人の陽性が判明した例もある。
専門家は「国内にはある程度入っているとの前提で対策を進める必要がある」と強調する。厚労省は昨年12月以前の帰国者にもさかのぼり、調査を進めている。
デンマークのフレデリクセン首相は「既に抑えられないほど広がっている」と危機感を表明、保健当局は来月中旬には変異ウイルスが主流になると予測する。
米国や欧州では既に市中感染が続々と発覚。フランス南部マルセイユでは変異ウイルスの感染者周辺でクラスター(感染者集団)が発生した。
変異ウイルスは少なくとも50カ国・地域に広がっており、日本がビジネス往来を認めている中国や韓国、シンガポール、ベトナムでも確認されている。「ザル入国」批判を受けて、全入国者のPCR検査を義務付けたが、検査をすり抜ける例があることは判明している。国内の緊急事態宣言に加えて水際対策もさらにやるべきことがあるはずだ。