【政界マル秘淑女録】小池百合子都知事 貫禄十分に奮闘中 恐るべき老獪さ…再び国政復帰の野望か

新型コロナウイルス問題で、最もテレビへの露出が多い政治家は、東京都の小池百合子知事ではないか。菅義偉首相以上という印象がある。小池氏は再選を目指す都知事選を控えた昨年3、4月、1日2回、ぶら下がり会見などで都の感染状況を説明した。陰では「事前運動ではないか」と揶揄(やゆ)する声もあったが、堂々、7月の知事選で再選された。
再選後も、テレビで小池氏を見ない日はない。小池氏ほどテレビを上手に活用している政治家はいないだろう。おまけにコピーライター顔まけのキャッチコピー作成能力も持ち合わせている。
例えば、昨年11月19日の記者会見では、新型コロナの新規陽性者などが増加しているとして、「(年末年始に向かって)ますます会食の機会も多くなると思うが、改めて会食時の対策を徹底していただきたい」と語り、「5つの小」と書かれたボードを掲げた。
「5つの小」とは、会食は「小人数」「小一時間」「小声」「小皿」「『小まめ』に換気や消毒」のこと。つまり、「5つの小」を合言葉にして、感染防止対策の徹底を呼びかけたのである。
小池氏は、細川護煕元首相が立ち上げた日本新党から国政進出を果たす。その後、新進党、自由党、保守党、自民党を転々と渡り歩きながら政治経験を重ねた。なぜか、どの政党に行っても時々の権力者に重用され、一定のポストを得て活躍している。
2017年の衆院選では「希望の党」を立ち上げ、民進党の前原誠司代表(当時)をまんまと篭絡(ろうらく)して、党を“解体”させた。この時の彼女の「排除の方針」が立憲民主党を誕生させたのである。しかも、状況が不利とみると、素早く撤退して臆面なく「知事に専念します」と言い切る変わり身の早さも身に付けている。
その老獪(ろうかい)さたるや、恐るべきものがある。
いまや、小池氏は押しも押されもせぬ女性政治家のトップランナーであることは間違いない。新型コロナが収束に向かい、東京五輪・パラリンピック開催が実現すれば、小池氏の存在感はさらに高まることになるだろう。そうなれば、「わが国初の女性首相」の可能性すら出てくる。
今年は衆院選がある。小池氏の胸中には「国政復帰の野望」が再び点火する可能性もあるのではないか。そうなれば「ポスト菅」の最有力候補に浮上するかもしれない。
■伊藤達美(いとう・たつみ) 政治評論家。1952年、秋田県生まれ。講談社などの取材記者を経て、独立。永田町取材三十数年。政界、政治家の表裏に精通する。著作に『東條家の言い分』『検証「国対政治」の功罪』など多数。『東條家の言い分』は、その後の靖国神社公式参拝論争に一石を投じた。