神奈川県は16日、新型コロナウイルスに感染し、軽症と判断された大和市の70代男性について、保健所が療養先を決める前に連絡がつかなくなり、死亡が確認されたと発表した。感染拡大に伴って保健所の業務が逼迫(ひっぱく)していることで聞き取り調査が進まずに療養先の決定が遅れており、自宅で待機している軽症・無症状者は県内で少なくとも約380人に上る。
県によると、男性は9日、発熱があったため検査を受け、軽症と判断されて帰宅し、10日に陽性と判明。保健所は11日に医療機関から発生届を受け、13~15日に男性の携帯電話と自宅に計9回電話したがつながらず、15日に消防隊員が自宅で死亡している男性を発見した。死因、死亡日ともに不明という。
県独自の医療体制「神奈川モデル」では、軽症と診断された患者は保健所の聞き取り調査の後、自宅か宿泊施設の療養先で血中酸素飽和度などを報告してもらうことになっている。男性の聞き取り調査は済んでおらず、自宅で待機中に死亡したとみられる。
県の調査では、聞き取り調査が未実施の軽症者は県管轄の4保健所管内で約380人おり、このうち男性が住む大和市も所管する厚木保健所が約360人と集中している。医療機関から連絡を受けてから6日間が過ぎた人も約5人いた。
背景には、感染拡大に伴う保健所業務の逼迫がある。厚木保健所では昨年12月は1日10件程度だった発生届が、現在は60件程度に急増。リスクの高い患者の聞き取り調査が優先されるため、療養先決定が後回しになる軽症・無症状者が出てきているのが現状だ。
県の担当者は「本来は発生届の後、速やかに聞き取りをしなければいけない」とする一方で「電話がかけられる人材がもっといればと思うが、保健所としてやれるだけのことはやった」と対応の難しさをにじませた。【池田直】