NHK受信料 値下げの具体策を早期に示せ

身を切る改革を急ぎ、受信料を大幅に引き下げることが重要だ。その具体策を、国民に早期に示してもらいたい。
NHKは2021~23年度の中期経営計画をまとめ、23年度中に受信料を値下げすると表明した。年間受信料収入の1割にあたる約700億円をその原資に充てる意向で、引き下げの方法は今後、検討するとしている。
内部留保にあたる剰余金は20年度末に1450億円と、15年度の2倍近くに膨らむ見込みだ。値下げのため、その一部などを積み立てる仕組みを設けるという。
昨年8月に計画案を発表した時には、受信料は据え置く方針を示していた。9月に就任した武田総務相が、携帯電話料金とともに受信料の値下げを強く求めたことで、今回の計画に盛り込まざるを得なかったのだろう。
そもそもNHKは放送法に基づく特殊法人であり、利益を上げる必要はない。内部留保をため込むこと自体、不適切であり、視聴者に還元するのは当然だ。
NHKの前田晃伸会長は記者会見で、値下げの具体的な中身について、「22年度が終わった後にめどが立つ」と述べた。受信料収入の増減も見極めると説明しているが、対応が遅すぎる。
武田総務相が要請した、新型コロナウイルスの流行で苦しむ家計の支援には間に合わない。
さらに、今後の収支の動向などによって、料金引き下げが1年限りになる可能性があるという。一時的な値下げでは、視聴者の理解は到底、得られまい。
剰余金の扱いにとどまらず、事業を抜本的に見直して、多くの国民が納得できる料金体系を実現していく必要がある。
イベント企画や物販など、民間と競合する子会社のリストラを急ぐべきだ。計画では、グループの規模縮小や企業数の削減を掲げたが、具体策は示していない。
見直し作業をスピードアップしつつ、そもそも必要な業務なのかを一から検証してほしい。
計画は、BS放送やラジオのチャンネル統廃合も打ち出した。これには、ラジオの語学といった教養番組が打ち切られるのではないかと懸念する声がある。良質な番組の提供という本業のサービス低下は避けねばならない。
民放と似た手法の娯楽番組も目立っている。ネットの普及でテレビ離れが進む中、公共放送に求められる本来の役割を再確認することが不可欠だ。受信料を下げるだけで終わる話ではない。