国の責任否定 原告「不当判決」 原発事故訴訟控訴審 東京高裁、東電に賠償命令

東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から群馬県に避難した住民ら91人が国と東電に総額約4億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(足立哲裁判長)は21日、国の責任を否定し、東電のみに約1億2000万円の支払いを命じた。
1審・前橋地裁判決(2017年3月)は国と東電双方の責任を認め、計約3800万円の支払いを命じていた。国の責任が争われた同種の原発訴訟の高裁判決は2例目で、国の責任を認めた仙台高裁判決(20年9月)と判断が分かれた。
判決は、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表し、福島沖で巨大な地震が起き得ると予測した「長期評価」の信頼性について検討。長期評価は、過去約400年間に巨大津波を起こす地震が三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで3回発生したことを前提としているが、判決はこの点には異論があったとしたほか、土木学会の知見とも整合しなかったと指摘し、長期評価の知見からは、原発の敷地高を超える津波の発生は予見できなかったとした。
原告弁護団は「不当な判決。上告審で国の責任を明らかにする」との声明を出した。東京電力ホールディングスは「判決内容を精査し、対応を検討する」、国の原子力規制委員会は「適切な規制をしていきたい」とした。【遠山和宏】