2013年に福岡県の私立高3年の男子生徒(当時18歳)が自殺したのはいじめが原因だとして、生徒の遺族5人が、高校を設置する学校法人に約9500万円の損害賠償と謝罪文の校内掲示を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は22日、学校側に計約2640万円の支払いを命じた。小野寺優子裁判長は「(学校側は)自殺を阻止することは十分可能だった」と指摘した。
生徒の自殺を巡っては、学校側が設置した第三者委員会や独立行政法人日本スポーツ振興センターが自殺といじめとの因果関係を認めたが、学校側の法的責任が認定されたのは初めて。
判決によると、生徒は、1年生の2学期ごろから同級生に身体的特徴をからかわれるなどし、その後も校内で殴られるなどの暴力や侮辱行為を受け続け、13年11月に自殺した。小野寺裁判長は、一連のいじめは一方的で長期間にわたるとして、いじめと自殺との因果関係を認めた。
小野寺裁判長は、生徒の首にあった自殺未遂に伴うあざを見るなどした教諭2人は「いじめの端緒を認識していた」とし、他の教員との情報共有や適切な調査をしなかったと批判。学校自体も「いじめ問題に対する感受性が鈍い」として教員の安全配慮義務違反を認定し、学校側が適切に対応していれば生徒は「自殺に追い込まれなかった可能性は高かった」と判断した。
そのうえで、小野寺裁判長は、息子を失った無念さなどを「遺族の固有の慰謝料」として損害に認めた。一方、遺族が、生徒の名誉回復のために求めた校内での謝罪文掲示は「いじめが社会的名誉を傷つけたとまでは認められない」として退けた。
判決後、生徒の父(67)は「気持ちが洗われるような判決だ」と話した。学校側は「判決を重く受け止める。引き続き学校としていじめ防止の取り組みを進める」とコメントした。
遺族は学校法人と同級生8人を相手に提訴したが、同級生は法的責任を認めて謝罪するなどし、全員と和解していた。【宗岡敬介】
いじめなどの相談窓口
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