新型コロナウイルス感染症が広がる中、首都圏のコロナ感染症指定病院や保健所などで日々奮闘するママやパパを育児面で支援する動きが出ている。訪問型病児保育事業などを手がける認定NPO法人「フローレンス」(東京都)は19日から無料のシッター派遣を始めた。担当者は「患者受け入れや治療に携わる子育て中の親たちを少しでもサポートしたい」と語る。
送迎や外遊びも 交通費、実費のみ
シッター派遣は、コロナ患者(疑い含む)を受け入れている医療機関の従事者や、保健所、保健センターでコロナ対応をしている職員の家庭が対象。保育士などの資格を持つスタッフが希望者宅を訪れ、子どもの世話や、保育園、学校、習い事の送迎のほか外遊びもしてくれる。子どもの安全が守られる範囲で調理、洗濯、食器洗いなどの家事も頼める。
交通費一律1000円と保育の実費のみ負担してもらう。いわゆる「保育料」はかからない。実施に先立ち、同NPOがコロナ医療従事者約100人に緊急アンケートをした結果、9割以上の医療従事者がシッターの「利用を検討したい」「ぜひ利用したい」と答えた。
1回勤務16時間 「体限界」の日も
東京のコロナ感染症指定病院で働く女性看護師は7歳と3歳の子の母親で、正月休みもなく感染症患者の受け入れに追われている。
コロナ対応の影響は、コロナ病棟だけではなく、病院のオペレーションすべてに及んでいるという。重症患者はICU(集中治療室)で治療するが、回復までに2~3週間かかるのでベッドが空かない。そのため、本来ICUに入るような患者が一般病棟に入院し、専門的な処置や治療ができる人と機材の配置が必要になる。
また、一般病棟に入る時点で陽性か陰性か分からない患者もいて、一般病棟も感染対策を最高レベルにしていることが多く、「ストレスフルな環境が続いている」という。
日々のコロナ患者の受け入れ数が分からず、スタッフの勤務態勢が組めるのは前日だ。女性は2交代制で働いており、1回の勤務は16時間。家庭での夫や子どもとの調整が直前までできず、夫の仕事が立て込んだら育児は綱渡りだ。高齢の祖父母は重症化する危険があり、手伝いを頼めない。
女性は訴える。「やんちゃ盛りの子どもたちにも、ちゃんと関わってあげたいが、勤務が続きコロナ患者の対応に追われると、やはり体が限界を感じる日もある。頼れる大人の手があると助かる」
フローレンスは2020年の緊急事態宣言中、休校・休園などで子どもが在宅になった保護者を支援する「訪問型健康児保育(シッター)」サービスを提供した。
今回の無料シッター派遣は緊急事態宣言が解除されるまで実施する。提供時間は9~22時。希望者は専用サイト(https://florence-p.resv.jp/reserve/reg_member.php)に利用者情報を登録して予約する。予約枠は100人を予定。県内では横浜、川崎、大和の3市が提供エリアになっている。【賀川智子】