3回以上受け入れ拒否… 救急搬送困難事例が急増 横浜と川崎で前年比3倍以上

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って病床が逼迫(ひっぱく)している影響で、救急搬送の受け入れが医療機関に断られるケースが相次いでいる。感染者が多い横浜市や川崎市では今月、3回以上断られた「搬送困難事例」が前年比で3倍以上に急増。第3波の終息が見えないなか、ただでさえ感染リスクと隣り合わせの救急医療の現場は疲弊しつつある。
神奈川県内では2020年11月以降の感染拡大で病床が急激に逼迫しており、すぐに入院できる即応病床の利用率は今月中旬以降、9割前後で推移している。病床利用率の上昇とともに、消防が搬送先を見つけることが困難になっているのが現状だ。
18日に1日あたりで最多の542人の感染が確認された横浜市では、その傾向がより顕著に出ている。市消防局によると、搬送先を見つけることが以前より困難になっているという。「受け入れ要請4回以上、現場滞在時間30分以上」の搬送困難事例が救急搬送全体に占める割合は、新型コロナが確認される前の19年3~12月で0・8%だったのに対し、20年3~12月は1・9%に上昇した。
搬送困難事例は20年12月には566件あり、前年同月(192件)の3倍近くに上った。今月は3週まで(4~24日)に685件あり、前年同期(205件)から3倍以上。かつてないペースで急増している。
ただし、そうした状況下でも救急搬送の8割程度は受け入れ要請1回で搬送先が決まっており、担当者は「現時点で大きな影響はない」と事態を冷静にみる。一方で、新型コロナの終息が見通せない現状を踏まえ「搬送に時間がかかるケースが増え、現場が今以上に疲弊してしまう」と懸念している。
横浜市に次いで感染者が多い川崎市でも、救急体制への影響が出始めている。市消防局によると、今月の3週までの搬送困難事例は221件で、前年同期(59件)の4倍近くに達している。
市消防局の担当者は「医療機関の中には患者に発熱がある場合、通常必要な情報以外にもせきや体の痛みの有無など、多くの情報を求めた上で受け入れを判断するケースが多くなっている」と指摘。新型コロナ感染拡大の影響で、それ以外の症状やけがにも慎重な判断が増えていることに比例して、搬送に時間がかかるケースも増加したとみている。
市消防局は救急搬送体制を維持するため、消防隊員が出動時に搬送者の発熱の有無にかかわらず、ゴーグルや感染防止衣の着用などのコロナ対策を取っている。それでも感染リスクが高い状態での長期の活動は「隊員の大きなストレスになっている」という。【池田直】