7日は「北方領土の日」。その直前の5日、ロシア軍が国後島沿岸で射撃訓練を開始した。27日まで実施の予定だが、外交オンチの菅首相は関心薄だ。
4日にロシアから軍事演習を通告された政府は、「我が国の立場と相いれない」と抗議したという。ロシアは昨年の改憲で領土割譲を禁止し、4島返還拒否をにおわせてきた。このタイミングでの演習にどのような意図があるのか。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「露メディアが1日に報じた前首相のメドベージェフ安全保障会議副議長の発言は決定的でした。〈日本の交渉相手は解決できないと理解しているが、国内コンセンサスに基づくとされる内部方針があり、撤回が許されない〉という趣旨の内容だった。〈交渉相手〉は恐らく安倍前首相を指し、日本政府は返還不可能だと承知の上で交渉を進めていたというのです。事実にしても外交儀礼上、表に出す話ではない。あえて口にしたのは交渉終了を知らしめるためでしょう。北方領土の日を狙い撃ちにした射撃訓練も〈ロシア領に近づくな〉という警告です」
7日開催が恒例の「北方領土返還要求全国大会」はコロナ対応で一般参加なし、ネット生配信と初めて尽くし。根室など全国4カ所をオンラインでつなぎ、菅首相はビデオメッセージで参加する。
「1992年開始のビザなし交流は例年7~9月に実施。2月には準備が始まるのですが、今年は動きがない。昨年はコロナ禍で全面中止。ロシア側はこれを既成事実化し、交流を打ち切るつもりなのではないか」(中村逸郎氏)
北方領土を巡っては、2018年のシンガポール合意で「1956年宣言(日ソ共同宣言)を基礎として平和条約を加速させる」としたため、安倍前首相は2島返還に舵を切ったと批判された。しかし、菅首相は施政方針演説で「これまでの諸合意を踏まえて交渉を進める」と言及。5日の衆院予算委で立憲民主の岡田元外相に「路線は変わったのか。元に戻したのか」などと問われても、菅首相は真正面から答えず、「両国間の文書、合意を踏まえて交渉していく」などと言葉少なにのらりくらり。日ロ首脳会談は19年9月を最後に開かれていない。強まる実効支配に菅首相は目をつむり続けるのか。