「サル団子」序列1位のオス、内側でぬくぬく 京大霊長類研が写真で分析

寒さをしのぐためにニホンザルが体を寄せ合う「サル団子」を観察したところ、より暖かい内側に集団での順位が高いオスが陣取っていたことが、京都大霊長類研究所の石塚真太郎研究員(行動生態学)の調査で分かった。ニホンザルは集団内で厳格な序列が存在することで知られる。石塚研究員は「集団生活の中、順位がもたらす利益と不利益を知ることは、動物の集団生活について理解を深めるのに役立つ」と話す。
調査は2017年12月、小豆島の自然動物園「お猿の国」(香川県土庄町)で暮らすニホンザルの2集団のうち1集団(調査当時約150匹)を対象に実施した。この集団には大人のオスが6匹おり、序列も確認されている。サル団子の様子を5分ごとに撮影し、オスがサル団子のどこに位置し、何匹のサルと接触した状態にあるかを調べた。
順位高いほど接する個体数多く
写真100枚を分析したところ、接触していた個体数の平均は、集団内の序列で1位のオスが約5・5匹で、2位以下は約3・2~3・6匹と、順位が高いほど接する個体数が多かった。さらに、総勢21匹以上による大きなサル団子56個について考察すると、順位が高いオスほどサル団子の内側にいた回数が多かった。1位のオスが、サル団子の内側に割り込む行動も確認された。
今後はメスについての分析を進めるほか、実際にどれだけ暖まっているのか、小型サーモカメラで測ることも検討している。研究成果は英国の学術誌「ビヘイビアル・プロセス」(オンライン版)に掲載された。【福富智】