緊急事態宣言「解除」前倒しで大丈夫か 愛知、岐阜、福岡で検討、大阪も条件満たすが…「東京抑制後に」「自治体の判断」分かれる意見

政府が10都府県で3月7日まで延長した緊急事態宣言について、愛知、岐阜、福岡の3県を先行して解除する方向で検討に入ったことが分かった。産経新聞が報じた。大阪府も独自の解除基準を満たした。前倒し解除の動きが出てきたが、「第4波」の襲来を予測する専門家もいる。

政府は12日に基本的対処方針等諮問委員会を開き、政府対策本部で対応を決定する。
大阪府では直近1週間の新規感染者が1日当たり185人まで低下し、国に緊急事態宣言の解除を求める基準を満たした。吉村洋文知事は「感染の爆発的拡大は抑えられていると思うが、解除要請は病床の逼迫(ひっぱく)状況も加味して判断したい」と述べた。
東京都も8日の新規感染者が276人まで減ったが、早期の解除によって、「第4波」の襲来を指摘する声もある。東京大の仲田泰祐准教授と藤井大輔特任講師は1月下旬の数値を元に、東京の感染者が1日500人で解除した場合、4月後半には再び2000人にまで増加すると予測した。
宣言解除の基準について日本医科大の北村義浩特任教授(感染症学)は、「医療逼迫をテーマとした緊急宣言である以上、病床使用率や入院調整者数、自宅待機者数をみて判断すべきではないか」と語る。
北村氏は、自治体ごとの解除も時期尚早との見解だ。「現在はどこも解除できる状況ではない。東京は感染者数500人以下で解除しても昨年12月中旬と同程度の水準に過ぎず、昨年5月下旬ごろの2ケタ台まで減らすことが望ましい。東京が抑制されてからの一斉解除でいいのではないか」
これに対し、「病床使用率を基準にすれば、来月7日も延長の議論になるだけだ。ワクチン接種を考慮に入れれば、来年までの延長を考えなければならず、経済的なリスクが高くなる」と指摘するのは、元厚生労働省医系技官の木村盛世氏(感染症疫学)。
木村氏は「病床数も人口密度も異なるため、解除の判断は各自治体に任せる形がいい。この1年での行政や医療従事者の経験値も考慮されるべきだろう。感染者の減少は緊急事態宣言の効果か季節性によるものなのかは定かではなく、解除したうえで医療提供体制の整備や病床数確保に注力すべきではないか」と述べ、早期解除も検討すべきだと強調した。