宮城、福島で震度6強…震災10年直前に住民「津波の心配はないと言われても信じられない」

13日午後11時7分頃、宮城県南部、福島県の中通りと浜通りで震度6強の地震があった。地震の規模はマグニチュード(M)7・3と推定され、東日本大震災の余震とみられる。宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川の9県で155人が負傷。宮城、福島では少なくとも約240人が避難所に身を寄せ、東日本の広範囲で停電と断水が発生した。1万5000人以上が犠牲になった震災から10年の節目を迎える直前の大型地震に、住民たちは不安な夜を過ごした。
震災発生10年の節目まで、あと26日。またも強い揺れに見舞われた住民たちは、恐怖の中で朝を迎えた。
宮城県石巻市の高台には、津波を心配して車で避難する住民が相次いだ。震災で自宅が全壊した主婦(50)は「突き上げるような揺れが2回来た。10年前のように危ないと思い、家財道具を車に積んで夫や娘と避難した」。男性会社員(50)も「津波の心配はないと言われても信じられない。10年前、苦い目に遭ったから教訓として逃げた」と明かした。
自宅2階で就寝中だった福島県いわき市の女性公務員(46)の頭によぎったのも10年前のことだった。「思い出して怖かった。子供たちをすぐに見に行った」。宮城県塩釜市の吉田万里子さん(76)は寝付いた直後、立て掛けていたテーブルが体に倒れてきた。「余震も怖い。1人暮らしでどうすればいいのか」と心細そうに語った。
気象庁によると、東北沖を震源とする最大震度6強の地震は2011年4月以来。政府の地震調査委員会は、震源は長さ40キロの南北方向に伸びる断層との見解をまとめた。震源断層は東側に傾いており、垂直方向にずれる逆断層とみられる。宮城県山元町では、重力の加速度980ガルを超える1432ガルの強い揺れを、福島県南相馬市では西に2センチ弱動く地殻変動を観測。調査委は、1週間程度は最大震度6強程度の地震に注意が必要としている。
東京電力と東北電力の管内で計約95万戸が停電。日本卸電力取引所などによると、地震に伴い火力発電15基以上が停止。北海道や西日本から電力の融通を受け、供給不足を回避した。停電は東京、山梨、静岡にまで及んだ。宮城や福島、茨城、栃木県内では最大約2万5700戸が断水した。
震度6強を観測した福島県相馬市では、常磐自動車道の道路脇斜面が崩れ、土砂が数十メートルにわたって道をふさいだ。相馬港では岸壁が液状化し、泥が地面から噴き出す現象が見られた。
東北地方を象徴する武将・伊達政宗が眠る霊廟(れいびょう)「瑞鳳殿」(仙台市)では、石灯籠や墓石など約100基が倒壊。福島県二本松市のサーキット場「エビスサーキット」ではコース脇の崖が崩れてレストランなどの入る建物が損壊した。