13日深夜に震度6強の激しい揺れに見舞われた福島、宮城両県では、住民らが自宅の片付けに追われた。2011年3月に起きた東日本大震災の発生からまもなく10年。住民らは再び、不安な暮らしを余儀なくされている。
福島県新地町では、住宅の屋根の瓦が落ちたり、外壁がはがれ落ちたりする被害が出た。
会社員男性(63)宅では15日午前7時前から屋根の修理を開始。15日は雨の予報で、近所の人たちが屋根の上に上って、はがれかけた瓦をはめ込んだり、ブルーシートをかけたりした。男性は「足が悪いので屋根の補修はあきらめていた。助けてもらって本当にありがたい」と話した。
13日の地震は、東日本大震災の時より揺れを強く感じたといい、木造2階建ての住宅は壁にひびが入り、窓ガラスが割れて食器も散乱した。一時断水していたが、15日朝から水道が使えるようになった。
妻(62)は「東日本大震災から10年たとうとしているのに、また被害に遭うとは思いもしなかった」と落胆した様子だった。
同県相馬市の女性(45)は14日、高校3年の長男(18)と一緒に、衣類や書類、本などが散乱した自宅の片付けをしていた。大震災では、屋根瓦が落ちる程度の被害だったが、今回の地震では、天井に柱がめり込み、自宅玄関はゆがんで、扉の開け閉めがうまくできなくなった。
高校の卒業式を来月に控える長男は「ただでさえコロナで不自由だった1年。せめて卒業式は普通に行いたい」と吐露した。
地震の影響で、東北新幹線は那須塩原―盛岡間で運行を取りやめており、JR盛岡駅、仙台駅では15日朝、代わりの移動手段を探す客の姿が多く見られた。
盛岡市の高校に通う生徒(18)は16日に都内で大学受験を控えており、盛岡駅で新幹線の区間変更を行った。母親の車で那須塩原駅(栃木県)まで送ってもらい、新幹線で東京を目指すという。「地震の影響は覚悟していたが、ここまでとは」と困惑していた。