コロナワクチン「1回接種」でいいのか 確保と国産開発遅れの真相 識者「政府の失策、野党の慎重論で後手に回った」

新型コロナウイルスワクチンの供給遅れが懸念されるなか、2回接種の米ファイザー製ワクチンについて、幅広い国民への1回接種を優先する案が自民党内で浮上している。1回接種でも一定の効果が得られるとする研究もあるが、薬事承認の前提が覆されるだけに反対する声も強い。そもそも日本のワクチン確保や国産ワクチンの開発はなぜ後れを取っているのか。 ◇ 菅義偉首相は24日、65歳以上の高齢者へのワクチン接種に関し「4月5日の週に発送し、12日から接種する予定だ」と記者団に述べた。26日の週から本格化させる。 河野太郎行政改革担当相は24日、ワクチンが3月中に最大230万回分が到着すると明らかにしたが、高齢者数は3600万人に上り、接種計画は後ずれしている。 自民党の下村博文政調会長は同日の記者会見で、ワクチンの供給が不足する場合には1回接種も選択肢になりうるとして、「シミュレーションの1つとして検討はしていきたい」と述べた。 イスラエルの研究チームは、ワクチン1回の接種でも15~28日経過後の感染率は75%減少し、発症率は85%減ったと発表している。 田村憲久厚生労働相は同日の会見で「薬事承認は2回接種で承認している。今のところまだ1回接種を考えているわけではない」と述べた。 菅首相も公明党の山口那津男代表との会談で、「2回接種する考え方でいきたい」と述べたが、ワクチンが順調に供給されない場合、1回接種論が強まる可能性も残る。 日本医科大の北村義浩特任教授(感染症学)は「2回打つことで薬事承認を得ているワクチンを1回接種にすることは制度破りだ。1回接種の効果についてイスラエルの研究が引用されることも多いが、まだ十分に信用できるとはいえないデータを根拠に国民の命に関わる判断を下すのは危険だ」と懸念を示す。 医療関係者の中でも1回接種を容認する意見はある。感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫院長補佐は、「1回のみの接種だと有効性が減ることは確かだが、ワクチンの供給体制が不十分ななかで国民に免疫を付けるためには、1回接種も容認し、多くの人へのワクチン接種を優先してもよいのではないか」との見解を示す。 東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「ワクチン1回接種の予防率は、7~9割と報告されており、感染対策や予防を継続できれば容認できるのではないか。だが、1回打つと安心して無防備なまま飲みに出かけたりする人が増える恐れがあるのは不安材料だ」と警鐘を鳴らす。
新型コロナウイルスワクチンの供給遅れが懸念されるなか、2回接種の米ファイザー製ワクチンについて、幅広い国民への1回接種を優先する案が自民党内で浮上している。1回接種でも一定の効果が得られるとする研究もあるが、薬事承認の前提が覆されるだけに反対する声も強い。そもそも日本のワクチン確保や国産ワクチンの開発はなぜ後れを取っているのか。

菅義偉首相は24日、65歳以上の高齢者へのワクチン接種に関し「4月5日の週に発送し、12日から接種する予定だ」と記者団に述べた。26日の週から本格化させる。
河野太郎行政改革担当相は24日、ワクチンが3月中に最大230万回分が到着すると明らかにしたが、高齢者数は3600万人に上り、接種計画は後ずれしている。
自民党の下村博文政調会長は同日の記者会見で、ワクチンの供給が不足する場合には1回接種も選択肢になりうるとして、「シミュレーションの1つとして検討はしていきたい」と述べた。
イスラエルの研究チームは、ワクチン1回の接種でも15~28日経過後の感染率は75%減少し、発症率は85%減ったと発表している。
田村憲久厚生労働相は同日の会見で「薬事承認は2回接種で承認している。今のところまだ1回接種を考えているわけではない」と述べた。
菅首相も公明党の山口那津男代表との会談で、「2回接種する考え方でいきたい」と述べたが、ワクチンが順調に供給されない場合、1回接種論が強まる可能性も残る。
日本医科大の北村義浩特任教授(感染症学)は「2回打つことで薬事承認を得ているワクチンを1回接種にすることは制度破りだ。1回接種の効果についてイスラエルの研究が引用されることも多いが、まだ十分に信用できるとはいえないデータを根拠に国民の命に関わる判断を下すのは危険だ」と懸念を示す。
医療関係者の中でも1回接種を容認する意見はある。感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫院長補佐は、「1回のみの接種だと有効性が減ることは確かだが、ワクチンの供給体制が不十分ななかで国民に免疫を付けるためには、1回接種も容認し、多くの人へのワクチン接種を優先してもよいのではないか」との見解を示す。
東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「ワクチン1回接種の予防率は、7~9割と報告されており、感染対策や予防を継続できれば容認できるのではないか。だが、1回打つと安心して無防備なまま飲みに出かけたりする人が増える恐れがあるのは不安材料だ」と警鐘を鳴らす。