栃木・足利の山火事 市長「鎮圧まであと一歩」 発生から1週間

栃木県足利市の山火事は27日で発生から1週間を迎えた。一時は強風で延焼地域が拡大したが、徐々に収まりつつある。同日の記者会見で和泉聡市長は「鎮圧まであと一歩のところまで来ているという感触」と話し、早ければ来月1日にも火の勢いが収束した状態を表す「鎮圧宣言」を出したい考えを示した。【李舜】
会見で和泉市長は「風が弱まり天候条件が良く、しっかりとした消火態勢も構築できており、(鎮圧に向け)いい方向に進んでいる」と述べた。延焼地域が約106ヘクタールで26日と変わらなかったことや、消防隊が地上から現場に入り残火処理にあたったことを踏まえ、「延焼地域を徐々に制御できている。天候次第だが、28日は残火処理をメインにし、翌1日に煙が立ち上らなかった場合、その時点で鎮圧を宣言できたらうれしい」と語った。
避難勧告世帯も305世帯と変わっていない。勧告解除について和泉市長は「基本的には鎮圧段階で解除となるが、長く延焼した地域などもあるので段階的、部分的解除もあり得る」とした。
市によると、発生から7日間で消火にあたった人員は消防と自衛隊合わせて延べ約1900人。ヘリコプターによる上空からの放水は約700回で計1675トンが散水された。また、27日正午ごろ、飛行中の消火ヘリコプターに小型無人機「ドローン」が接近し、ヘリによる消火活動が1~2時間中断したといい、市は「ドローンを飛ばすとヘリコプターの邪魔になるので使用は控えてほしい」と呼びかけた。
住民笑顔「ようやく安心できそう」
26日までは絶えず白煙を上げ続ける両崖(りょうがい)山だったが、27日には数カ所からのみ煙が確認されるなど状況は好転しており、住民からは「日常が戻ってきそうだ」と期待の声が上がった。
23日に避難勧告が出された足利市西宮町の女性(68)は「家の近くに煙が充満しておらず、1週間ぶりに洗濯物を外で干せた。火が着いたり消えたりの毎日で疲れたが、ようやく安心できそう」と笑顔を見せた。
同市本城2の会社員男性(47)も「朝から昼にかけて煙が見えたが、いつの間にか消えていた」と安堵(あんど)した様子。「煙臭さがない日は久しぶり。民家に火が及ぶ心配もなさそうなので、日常がもう少しで帰ってくると思うとうれしい」と話した。
避難勧告は出ていない同市本庄1の女性(72)は「23日には火が家から見えて怖かった。まだ火があるのかもしれないが、ここまで火を消してくれた消防の人たちに感謝したい」と気遣った。