2020年10月下旬ごろから1日100人を超えて増加した大阪府内の新型コロナウイルスの新規感染者数は、1月に600人を超えるピークを迎え、2月下旬になってようやく100人を下回るようになった。大阪など6府県の緊急事態宣言は2月28日で解除されたが、府内の死者数は全国的に見ても多い数値だ。府民は第3波をどう過ごし、行政の対応をどう見てきたのか。変異株の実態も見えない中、不安は広がっていた。【田畠広景】
大阪市の40代の女性には、小学と高校に通う子供がいる。それぞれの学校で感染者が出た。複数人が出たときには休校になったが、感染者が1人のときは学級閉鎖もなく、濃厚接触者の調査にも不安が残ったという。「子供でも後遺症が心配だ。寝屋川市のように検査が徹底され、オンライン授業が十分に選択できる自治体が羨ましい」と話す。
思うように入院できない状況を心配し、市販の解熱剤や頭痛薬などを買い求めたという女性。「『感染症対策と経済対策の難しいかじ取り』という言葉が嫌い。ウィズコロナと言って緊急事態宣言と解除を繰り返すより、ゼロコロナに近い状態を目指す方が安いのではないか」と指摘する。「大阪の死者数が多いのも気になる。潰れそうな会社や店は支援できるが、感染による死は防ぎようがない。GoToは命を犠牲にする政策だったのではないか」と懸念している。
入院で7キロ痩せる
別の府内の40代女性は、10月にコロナに感染した。38度を超える熱が出て、行政のコールセンターで持病があることも訴えたが、検査や病院につないでもらえなかった。自力で何件も電話をかけて探した病院で抗原検査を受けたが陰性。CT検査で肺炎像が見つかり、ようやく受けられたPCR検査で陽性が判明した。
「倦怠(けんたい)感がひどくて水やゼリーなどしかのどを通らず、入院で7キロ痩せた。病院では解熱剤があまり効かなかったが、他の薬は処方されなかった」。10日ほどで退院となってもしばらく微熱は続き、現在も目が赤くなる症状などが出るという。
仕事や行政、SNS、友人とのやりとりでもコロナにかかったことで嫌な思いをする場面が続き、気がめいっている。「どん底になるくらい人生変えられたなと思う。コロナを甘く見ている人の陰で、苦しんでいる人もいることを知ってほしい」と話す。
30代の女性看護師は、府内の病院で発熱外来を担当。結果としてコロナ患者に対応することもあった。年明けくらいが忙しさのピークだったという。来年度は、感染の状況によっては子供を自主休校させようと考え、3月までで一旦病院を退職しようと思っている。後遺症が心配で、子供への積極的なPCR検査を求めている。
大阪の行政に点を付けるとしたら「マイナス。現場に丸投げし、混乱させた。民間病院や飲食店などをたたいて分裂を生んだし、イソジンが効くという発言では、病院にも処方を問い合わせる電話が相次いだ。子供の間のクラスターについても、もっと警戒してほしい」と憤る。「病院ではゼロコロナを目指しているので、社会がウィズコロナだとギャップができてしまう。鳥取や和歌山の首長さんのようにしっかり対応してほしい」と話していた。