新型コロナウイルスのワクチン接種は、4月から高齢者に行われる見通しで、その後、16歳以上の国民が対象となる。米製薬大手ファイザー製のワクチンの輸送は、冷蔵か冷凍で慎重に行う必要があり、自治体や輸送業者は、渋滞や事故も想定しつつ準備を進めている。
「命を守るワクチン輸送に失敗は許されない」。配送事業を全国展開する「ロジクエスト」の木戸善次郎さん(46)はこう語った。医薬品や血液の輸送を手がける同社は2月以降、約40自治体からワクチンに関する問い合わせを受けている。
ワクチンは国内倉庫から、全国約1万か所の病院など「基本型接種施設」に移送される。氷点下約75度の超低温冷凍庫で保管され、地域の診療所などで個別接種をする場合、冷凍か冷蔵状態で運ぶ。
政府は自治体に対し、品質を低下させないため、冷蔵でのワクチン輸送は原則3時間以内で、揺れの大きいバイクや自転車は使わないよう求めている。
ロジクエストは、高機能の断熱材と緩衝材を使った保冷バッグでの輸送を計画。温度計を取り付け、トラックの運転手が異常がないか確認しながら移送する。
ファイザーは1日、超低温としていたワクチンの保管を、氷点下25~同15度でも最長2週間保存可能になったと発表した。大病院などにある冷凍庫でも管理できるようになるという。
東京都板橋区は発表を受け、担当者が対応を検討。超低温冷凍庫からワクチンを取り出し、氷点下25~同15度を保てる機器が確保できるかわからないため、計画通り、3時間以内に冷蔵で移送することを確認した。
区は多い日で車両9台で午前と午後、それぞれ12か所を回り、約200か所での個別接種を計画する。頭を悩ませるのは、区内を走る東武東上線の「開かずの踏切」20か所。朝夕のラッシュ時を中心に1時間のうち40分以上閉まり、企業の決済などが集中する「
五十日
( ごとおび ) 」は渋滞が起きやすい。
区は線路を越えないルートを選定中で、越える場合は、鉄道の下を通過する道路「アンダーパス」などを使う。国枝豊・予防接種担当課長(43)は「確実にワクチンを届けられる輸送路を見いだしたい」と話した。
一方、墨田区では輸送中の事故に備え、業者に代替車両の準備を求めている。