南西諸島などの森林にすむクチキゴキブリに寄生してキノコを生やす「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」が新種であることを確認したと、琉球大などの研究チームが国際菌学連合の学術誌に発表した。ゴキブリに寄生する冬虫夏草の確認は国内初、世界でも3種目だという。
冬虫夏草は「子(し)のう菌」の仲間で、昆虫などに寄生する菌類の総称。宿主(生きた昆虫)に感染して、体内で増殖を続けてキノコに成長し、胞子を放出して別の宿主に感染する。ニイニイゼミの幼虫に寄生する「セミタケ」など世界で数百種以上が知られ、漢方薬として使われる種もある。
研究チームによると、沖縄県国頭村(くにがみそん)や鹿児島県屋久島町、宮崎県延岡市の野外調査で、森林の朽ち木にすむクチキゴキブリの仲間「タイワンクチキゴキブリ」と「エサキクチキゴキブリ」から、それぞれキノコが発生しているのを見つけた。DNA配列の解析などの結果、それぞれから見つかった菌が同一の新種であると確認された。
クチキゴキブリの仲間は通常、朽ち木の中でずっと生活し、3~6月の交尾・繁殖の時期だけ外に出てくると考えられている。ゴキブリに寄生する冬虫夏草は、屋久島や沖縄県内で50以上発見されたが、ほとんどがこの時期に見つかっている。
研究チームの松浦優・琉球大助教(共生進化学)は「新種の冬虫夏草はゴキブリの繁殖期に狙いを定めて感染し、子孫を残していると考えられる。東南アジアなどのより広い地域で、今回見つかったような『ゴキブリタケ』の発生状況を調べていけば、謎の多いゴキブリ寄生菌の進化や生き様が詳しく見えてくるのではないか」と話す。【大場あい】