【森友遺族・夫の死を巡る法廷闘争記】
森友事件で公文書改ざんを強要され命を絶った財務省近畿財務局の赤木俊夫さん。改ざんの詳細をまとめたファイルがあることを、上司だった池田靖さんが俊夫さんの妻、赤木雅子さんに明言している。その通称「赤木ファイル」が今、雅子さんが国などを相手に起こしている国家賠償訴訟で焦点になっている。
国は赤木ファイルがあるともないとも言わない。でもこれは改ざんの実態を明らかにする上で欠かせない。雅子さんはファイルの提出を国に求め、双方出席して非公開の協議が22日、大阪地裁で行われた。その席で……。
「赤木ファイルを出すんですか?」
「探索作業中です」
「あるんですか? ないんですか?」
「探索作業中です」
「(ファイルの存在を明かした)池田さんに話は聞いたんですか?」
「探索作業中です」
何を聞いても「探索作業中」。雅子さんは吹き出しそうになった。
「これってボケとツッコミやん。吉本新喜劇見てるみたいや。椅子からズコッと転げたろか」
おそらく国の代理人は何を聞かれても「探索作業中」としか答えないよう指示されている。手元の冊子の資料を見る際、完全に開かず片方の表紙をついたてのように立て、雅子さんたちに見えないようにする。そのしぐさがおかしくて雅子さんはノートにスケッチを描いた。
正面の3人が裁判官。右側、表紙をついたてに「探索作業中」と発言しているのが国の代理人。雅子さんは絵が得意だ。
雅子さんの代理人、生越照幸弁護士も国の答えにあきれて、協議が終わると井上陽水の曲「夢の中へ」の「探しものは何ですか?」を歌いながら部屋を出た。
■「半歩だけど前に進んだ」と雅子さん
一方、この協議で裁判長は、赤木ファイルが見つかったら速やかに提出するよう国に求めた。雅子さんはこれを、自分に有利に働く前向きな指示だと受け止めた。
「半歩だけど前に進んだ。それ以上に『探索作業中』のボケに笑わせてもらったから、これがバースデープレゼントや」
この日、3月22日は赤木雅子さんの50歳の誕生日。最大のプレゼントは赤木ファイルだけど、それはもう少しお預けにしよう。=随時掲載
(相澤冬樹/大阪日々新聞・元NHK記者)