大分県竹田市などに農業用水を供給する大蘇ダム(熊本県産山村)の漏水問題で、九州農政局の大内毅・農村振興部長らが竹田市を訪れ、1日約1万トンの水が漏れている原因が特定できていないと首藤勝次市長に報告した。報告を受けた首藤市長は「ダムは完成しておらず、市が払った負担金27億6000万円を返してほしい」と不満を示した。九州農政局は今春以降の農業用水は足りるとしている。
九州農政局によると、大規模な漏水が2020年11月に発覚して以降、水中ドローンなどを使って原因調査をしているが、その特定には至っていない。
一方で、4月1日時点で、ダムの貯水量は約150万トンで、貯水率は約35%になる見通しを示した。農業用水として足りるとする一方で、不足すれば周囲の池などからポンプを使って補うとした。
九州農政局は大内農村振興部長らが竹田市を訪れ、首藤市長とダムの受益地の荻柏原土地改良区の佐藤慶一理事長らに非公開で説明。その後、公開された会合で市議にも説明した。市議からは「農家のことを何も考えていない」「責任を取ってほしい」などと憤りの声が噴出した。
説明後、取材に応じた首藤市長は「今の貯水量では農業用水には足りないんじゃないか。受益者の間に失望感が広がっている」と不快感を示した。大内・農村振興部長は「(受益者の間に)不安があることに申し訳なく思っている。なるべく早く原因を特定したい」と述べた。【石井尚】