未着工のリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区を巡り、川勝平太・静岡県知事は23日、定例記者会見で「工事に黄信号がともった。極めて赤に近い」と語った。JR東海は22日の記者会見で山梨県側に流出したトンネル湧水(ゆうすい)と同じ量の水を静岡県内に流す代替策に10~20年かかる見通しを表明。川勝知事は代替策を「非現実的。山梨県に迷惑がかかる話」と批判した。
22日に開かれた国土交通省の第10回有識者会議で中間報告案が提示され、県が求めるトンネル湧水の全量戻しについて「掘削工事の一定期間は山梨県側へ湧水が流出し、全量戻しとはならない」と記載された。
川勝知事は記者会見で「全量戻すのが基本。JRは南アルプスを甘く見たことが有識者会議で明確になった。工事が難しいなら、工事をしてはならない」と述べた。
有識者会議の座長交代も求めた。中央大研究開発機構教授の福岡捷二座長について「不適任。御用学者に近いとみている。国交省鉄道局、JRとの一体性が見える」と指摘。御用学者の意味を問われ、「政府の政策、権力にすり寄る学者がどの時代にもいる。そうしたものを見ている感じがする」と説明した。
静岡工区を巡る議論の進み具合に関しては「(登山に例えるならば)1合目。(県が有識者会議に議論を求めている)47項目のうち、まだ水量だけ。水質も生態系もある」と答えた。【山田英之】