PCR検査をすり抜ける“ステルス変異株”に警戒 専門家「全く検出できないことになりかねない」

フランスで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認された。鼻から検体を採取するPCR検査をすり抜けるというたちの悪さだ。この変異株が広がった場合、ステルス戦闘機のように検知されないままウイルスが蔓延(まんえん)する恐れもある。日本も第4波阻止へ変異株の水際阻止を急ぐが、国内に流入すると厄介なことになる。

フランスの保健当局によると、西部ブルターニュ地方ラニオンの総合病院で感染が確認された79人のうち、死亡した8人から新たな変異株が確認された。うち7人は、鼻の奥から検体を採取したPCR検査では陰性で、抗体検査や「呼吸器のより深部から検体を採取したPCR検査」で感染が分かったという。
遺伝子配列で新たな変異株と確認され、当局は詳しく調査する対象に指定。重症化や感染力が強いとの結論は得られていないが、知らぬ間に感染が広がる恐れがある。
フランスでは英国由来などの変異株が猛威をふるい、感染第3波が襲来、パリなどで4週間のロックダウン(都市封鎖)に突入した。さらに発見された「ブルターニュ変異株」が新たな脅威となるのか。
長崎大大学院の森内浩幸教授(小児科学・ウイルス学)は、「新型コロナウイルスの遺伝子配列のうち、PCR検査に関わる部分の変異はいつかは起こるだろうと想定されてきた」と語る。
PCR検査ではウイルスに特異的な遺伝子配列の特定部分を取り上げて検査の標的とするが、「その遺伝子配列に変異が多く起こるか、1カ所でも特に重要な部分の変異なら、全く検出できないことになりかねない」と森内氏。
「変異は一定の確率で起きるため、感染者数の分母が増えれば変異も増える。水際対策も重要だが、どこでも今回のような検査をすり抜ける変異は起こる可能性に留意すべきだ」と強調した。
田村憲久厚生労働相は、現在は変異株の流行国から入国した人に要請している検査や待機の対応を、全ての国からの入国者に広げ、水際対策を強化する考えを示した。変異株流行国からの入国者が待機期間中に宿泊施設などから出て行方不明になった場合は「民間の警備会社と契約して対応することも考えている」とも述べた。
いったん入ってしまった後は食い止めるのは難しい。引き続き最大限の警戒が必要だ。