【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】防衛費増や核シェアリングを議論せよ 台湾や尖閣有事…スキャンダルばかりで外交に取り組まないと大変なことになる

メディアは先週、首都圏1都3県に出されていた新型コロナウイルスの緊急事態宣言の行方が中心でした。産経新聞電子版が13日、スクープしたのがきっかけです。これに、国会で連日追及される総務省の接待問題を加えた「二題噺」がワイドショーや週刊誌を席巻しました。
では、他にニュースがなかったのかといえば、そうではありません。
アントニー・ブリンケン米国務長官と、ロイド・オースティン米国防長官が15日に来日し、茂木敏充外相と岸信夫防衛相とともに16日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開催しました。
ブリンケン、オースティン両氏はその後、ソウルで米韓外務・防衛閣僚協議(2プラス2)に出席。ブリンケン氏は帰途、米アラスカ州アンカレジに寄り、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)とともに、中国の楊潔チ(よう・けつち)共産党政治局員、王毅国務委員兼外相との米中外交協議に臨みました。
ジョー・バイデン米政権の発足後、外交トップの初外遊であり、東アジアの安全保障環境にとっては、今後数年を占う非常に重要な会談や協議でした。来月上旬にワシントンで予定されている日米首脳会談の方向性を見定める意味でも、注目すべき外交日程でした。
しかし、日本の報道は通り一遍のものが多く、国内ニュースに追いやられてしまいました。
この状況に、中東に赴任する旧知の外交官から「スキャンダルばかりで真面目に外交に取り組まないと大変なことになる」という危機感をにじませるメールをもらいました。日本で感じる以上に、中国の動きに危機感を抱いているようです。
というのも、中国が第1に野心を抱いているのは台湾ですが、「台湾有事」となれば、それは「尖閣有事」であり、「日本有事」であることが明らかだからです。
バイデン政権は同盟重視を掲げます。それは美辞麗句ではなく、同盟各国への「応分の負担の要求」を伴います。今まで、応分の負担というと「費用の肩代わり」や「国際協力部隊の派遣」といった支援の要素が大きかったですが、それは作戦正面が主に中東地域だったからです。
今後、東シナ海が焦点となれば当然、「当事国としての負担の分かち合い」が具体的議論になるでしょう。いまだGDP(国内総生産)1%少々に留め置かれている防衛費もそうですし、核シェアリングの可能性だって同盟による抑止力の維持という観点で必要になるかもしれません。米国は先日延長された新戦略核兵器削減条約(新START)で核弾頭の配備数が縛られますが、中国は無制限に増強できるからです。
いざ突きつけられたときに、感情的な議論の応酬になっては意思決定を誤ります。メディアも国会も今から議論しておくべきだと思います。
■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。