国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が先日、「中国側から東京五輪参加者への中国製ワクチン提供の申し出があった」と明らかにし、波紋を広げた。世界各国でワクチン不足が伝えられるなか、中国は活発に「ワクチン外交」を仕掛けている。参院自民党の論客、片山さつき元地方創生相が中国の狙いを分析し、どう対処すべきかを語った。
「フランスのエマニュエル・マクロン大統領らも、中国製ワクチンの安全性に警鐘を鳴らしており、信頼性は不透明だ。接種しても効かないどころか、新たな変異株の出現も助長しかねないとの指摘もある。そもそも、(治験の最終段階で行う大規模な)第3相の治験を行っていないワクチンを日本国内で承認・接種することは、あり得ない」
片山氏は語った。
日本で接種が始まったのは米製薬大手のファイザーが開発したワクチンだけだ。中国製ワクチンは承認されていない。香港政府は13日、中国製ワクチンを接種した男性2人が死亡したと発表した。接種の予約のキャンセルも相次いでいる。
それでも、中国は各国に利用を広げようとしている。在日中国大使館は、中国製ワクチンを接種した人を対象に、「中国渡航に必要な査証(ビザ)発給で便宜を図る」と発表した。
片山氏は「最近、中国大使館側から『中国の人口約14億人のうち、5000万人程度しか自国のワクチンは接種していない』と聞いた。自国でもその程度のものを、東京五輪への世界中からの参加者に提供しようとしている。ウイグルでの人権弾圧などを受け、欧米諸国が来年の北京冬季五輪をボイコットするのを牽制(けんせい)する狙いではないか。接種した選手が東京五輪で好成績を残せば『中国製ワクチン=安全』とPRし、『中国国内でも、より普及させたい』との思惑もあるのだろう」と分析する。
実は、バッハ氏率いるIOCの于再清副会長も中国籍だ。
片山氏は「バッハ氏の『中国ワクチン発言』の背景には、中国と日本の(国際機関での発言力の)違いが出たのではないか。ともかく、ワクチンを通じた『五輪の政治利用』は許すべきではない」と強調する。
日本はどうすべきか。
片山氏は「日本で高齢者に接種を始めるタイミングで、ワクチンを平等に分配する国際的枠組み『COVAX(コバックス)』を使い、日本への技能実習生も多いフィリピンなどの高齢者向けにワクチンを援助するのは一案だ。コロナウイルスは刻々と変異する。『日本型』が出現した際に備え、国産ワクチン開発も急ぐべきだ」と語った。