呼びかけ人や世話人に複数の自民党国会議員も。統一教会主導の新型コロナ終息祈念“1万人”イベントが国立施設で開催の“怪”

統一教会(家庭連合/天の父母様聖会 世界平和統一家庭連合)が京都府内の国立施設で4月上旬に開催する新型コロナ終息祈念“1万人”集いイベント。このイベントに、複数の自民党国会議員が呼びかけ人や世話人として関わっていることが判った。

◆自民党国会議員らが関与

問題のイベントは4月4日に国立京都国際会館で開かれる『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い ~世界平和への道~』なるもの。入手したチラシを見ると、イベントの主催は『新型コロナ終息を願う京都1万人祈りの集い実行委員会』となっているが、実行委員長は統一教会の京都教区長だ。さらに「天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合」や教団系列組織「京都府平和大使協議会」などが共催していることから、実質的に統一教会の主導イベントと見られる。

この“集い”のチラシの裏面には、地元選出の自民党国会議員4人が呼びかけ人や世話人の筆頭として印字。呼びかけ人として二之湯智参院議員(京都府選挙区)、世話人には田中英之衆院議員(京都4区)、木村弥生衆院議員(京都3区/比例復活)、繁本護衆院議員(京都2区/比例復活)が地方議員らとともに名を連ねている。

◆実行委員長は教団幹部、連絡先も教団施設と同じ

イベント実行委員長の安永來(アン・ヨンレ)氏は統一教会の国内各地の教会長や教区長を歴任、今年2月に人事異動で奈良教区長から京都教区長に転任した教団幹部だ。

また、チラシに印字されていたイベント連絡先電話番号は、世界平和統一家庭連合京都教区の施設『京都ミライノ』のものと同一だと確認できた。

『京都1万人祈りの集い』において神道国際学会理事長の肩書きで特別講演を行う三宅善信氏は、金光教の春日丘教会長。同学会の設立者はワールドメイトの深見東州教祖だ。

統一教会系の『宗教新聞』2020年5月17日号には、2面を使って三宅氏のインタビュー記事が掲載された。

〈参照:新型コロナウイルス感染症について三宅善信代表のコメントが『宗教新聞』誌に掲載|RELNET、昨年2月にパンデミックを警告 三宅善信神道国際学会理事長の著書|宗教新聞〉

◆会場使用の口利き疑惑も

イベントタイトルには「1万人祈りの集い」とあるが、京都国際会館メインホールのキャパシティは最大でも2000人だ。イベント概要や政治家の関わりなどを確認するため、主催者サイドに連絡を取った。

イベント実行委員会担当者が取材に応じた。

統一教会(家庭連合)の主導について「そこと小林芙蓉先生後援会が100人くらい動いている」と認めた担当者は、自身も家庭連合の信者だと答えた。当日の入場者数は家庭連合から500人、書画家の小林芙蓉氏関連から100人、YouTubeによるネット配信の視聴人数と合わせて「1万人」だという。連絡先電話番号が京都ミライノと同一なのは、京都府平和大使協議会が同施設の2階を間借りしているためと判った。

呼びかけ人や世話人として名を連ねている政治家は平和大使協議会などを通じて普段から教団と付き合いがあるという。

イベント開催の経緯も判った。キーマンは、呼びかけ人の二之湯智参院議員と天江喜七郎氏がそれぞれ理事長と会長に就く京都日韓親善協会の企画担当者だ。この企画担当者も家庭連合の信者で、教団から頼まれイベント開催について天江氏と二之湯議員に相談したところ、両氏は呼びかけ人になることを快諾したという。

天江氏は京都国際会館の元館長であり、二之湯議員も同会館の元職員だ。ハードルが高いと思われる国立施設の使用には、この二人と会館との関係が背景にあったのではないか。尋ねると、実行委員会担当者は「そうですね」と肯定した。

“集い”の参加費は3000円、事前受付により名前を登録すれば当日参加も可能だという。

当日、会場では呼びかけ人の二之湯参院議員が冒頭の挨拶を行い、その他3人の世話人衆院議員も出席予定と話す担当者。

「繁本先生は来られる予定、地元なので最初から最後までおられる。田中英之先生も多分来られる方向で、木村弥生先生も多分、最初からかはちょっとわからないが」

また三宅善進氏が講演することになったのは、教団とワールドワイドの関連ではなく、三宅氏が平和大使協議会・UPFの会議に数回参加した縁からだという。

◆『呼びかけ人』と『世話人』の国会議員たちは質問書を無視

小学館デジタル大辞泉によると、呼びかけ人は「人々に、ある活動への参加や協力などを要請・勧誘する人」で、世話人は「団体や会合などの中心となって組織・運営にたずさわり、事務上の処理をする人。世話役」となっている。

呼びかけ人や世話人となっている各国会議員の国会事務所と地元事務所に質問書をFAXした。質問事項の要旨は以下。

・呼びかけ人や世話人になった経緯

・「祈りの集い」当日の出席

・会場使用に関する口利き

・統一教会との関係(教団及び関連団体のイベントへの出席や祝電、選挙協力等の支援や便宜供与の有無)

・霊感商法や偽装勧誘など同教団が指摘される反社会性についての見解

・政治家としての道義的責任

どの議員からも期限までに回答はなかった。

◆統一教会だとは「判らなかった」国立京都国際会館

実質的な統一教会イベントを国立の施設で行うことに問題はないのか。

国立京都国際会館が定める「使用規則の要約」には「使用制限について」の項目に「反社会的勢力及びその関係者」「国際会議場としての品位を損なうおそれがあると認められるとき」「国立京都国際会館の事業目的を逸脱するおそれがあると認められるとき」の各事項に該当する場合は、使用の申込を断ると記載されている。

また「使用の承諾の取消について」の項目には「使用の承諾後、次の事項に該当すると判明した場合、使用の承諾の取消し若しくは使用の停止をさせていただくことがあります」として「申込の際、主催者等重要な事項について虚偽の申請をした場合」「その他施設の管理運営上、不適当と判断される場合」とある。

〈参照:使用規則の要約|国立京都国際会館〉

国立京都国際会館へ統一教会主導イベントにメインホールを使用させることの是非や議員の口利きなどについて情報提供を兼ねて尋ねた。

今回のイベントを受けた同会館担当者に、天の父母様聖会・世界平和統一家庭連合は統一教会とイコールであり京都府平和大使協議会も同教団系の組織であること、実行委員長も同教団の京都教区長だと伝えると「あ、そうなんですか?」と驚きを隠せない様子。

実質的な統一教会主導イベントであることは「名前が一切出ていないので」判らなかったという。教団が2015年に世界平和統一家庭連合へ法人名変更をしたことは検索すれば容易に判る。しかし、担当者は「そこまでの深堀りはしていない」と確認不足を露呈した。

会館の「使用規則の要約」への抵触についても「含めて今後、確認取れたら」と歯切れが悪い。

「いろんな宗教団体にお使いいただいているので、宗教によって何かということは特に(お断り)できない」

だが、統一教会は反社会的団体と指摘され裁判も多く起こされている。仮にオウム真理教の後継団体からの使用申請だった場合はどう対応したか訊くと「それはまた別途協議ということになると思う」と答え、もし最初から統一教会と判っていれば「内部で動議をしたと思う」とした。

現在、企画書の内容に沿って「淡々と」準備を進めているという担当者は、使用許可の取り消しについて「手配も全部終わっているので、今から映像さんや音響さんとかもろもろ全部キャンセルチャージが掛かってくるのでそれは多分ならない。使用許可はそのまま変わらない」と否定した。今さら使用許可の取り消しはできないということだが、数か月先の案件だったとしたら対応は替わっていたかもしれないと含みを持たせた。

元館長や国会議員からの紹介や口利きに関してはきっぱり否定、本来なら使えない施設が口利きで使えるようになったわけではないという。

「全然ない。特にそこは関係ない。淡々と予約が入ってきて淡々と受けたという感じ。普通に予約が入り、普通に申込書もらって」

◆当日、呼びかけ人・世話人の政治家たちは出席するのか

本連載でも過去に何度も報じたように、統一教会の問題に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会はこれまで全国会議員に対し、同教団の集会に出席したり支援を受けないよう要請する申し入れを複数回行ってきた。

〈参照:弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち|HBOL、国会議員の“統一教会”イベントへの出席に、弁護士団体が再び要望書。取りやめた議員はいたか?|HBOL〉

しかし、申し入れ後も同教団や関連団体のイベントに出席する政治家は後を絶たない。今回、質問を無視した国会議員たちが4月4日の「祈りの集い」に予定通り出席するのか、注視される。

<取材・文/鈴木エイト(ジャーナリスト)>

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教カルトと政治というテーマのほかにカルトの2世問題や反ワクチン問題を取材しイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)