避暑地として130年以上の歴史を持つ「軽井沢」のブランド価値を守ろうと、長野県軽井沢町の藤巻進町長は29日、記者会見を開き、名称の適切な使用を求める声明を発表した。町外事業所が「軽井沢」の名称を会社名や営業所名、商品名に使用することが常態化し、来訪者や消費者が誤解することがあり、企業倫理に訴えることで乱用抑止を図る。
声明は町商工会、軽井沢観光協会、軽井沢旅館組合の連名で出した。声明では町外事業者に対し、会社名や商品名などに軽井沢を使用する場合、町に事業所が存在しないことなどを「一般的に認知可能な手段」で周知するよう求めた。
「北軽井沢」(群馬)や「西軽井沢」など定着している名称を地名として使用する場合は対象外だが、町はこれらの地域でも「軽井沢店」などと名乗るのは適切ではないとした。個々の企業に是正は要請しないという。町は新年度から、地場産品を返礼品としたふるさと納税を導入するのに合わせ、町の考えを明確にすることにした。
避暑地として歴史を重ねてきた軽井沢だが、町内に事業所がないにもかかわらず名称を用いる事例が後を絶たず、長年の課題となっていた。町によると、長野・群馬両県の近隣6市町村で軽井沢の名称を使う事業者は少なくとも59社あった。宿泊先を軽井沢町と誤認した人から観光協会に苦情が寄せられたケースもあったという。
藤巻町長は「軽井沢の名称は先人が努力をして引き継いできた一級の財産。その価値を未来
永劫
( えいごう ) 維持し、さらに発展させていく使命がある」などと話した。
ドライフルーツなどを製造販売する「軽井沢きなり」(軽井沢町)の担当者は「ネームバリューの効果は計り知れず、(現状のままでは)ブランド価値が損なわれる懸念があった。地域の線引きが明確になるのは大きい」と期待した。
一方、国内外でフランス料理店などを展開する「ひらまつ」(東京)は今月16日、御代田町に高級ホテル「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」を開業した。広報担当者は「悩んだ末に併記を決断した。軽井沢の名に恥じぬよう地域に根ざし、軽井沢のみならず長野の食材や文化を発信し、ブランドの向上に寄与したい」と話した。