1日午後6時40分ごろ、静岡県牧之原市で発生し、3人のけが人が出た突風被害。同居する父親が負傷し、自宅の一部が損傷した男子大学生(21)が3日、毎日新聞の取材に応じ、発生当時の様子を鮮明に語った。
男性は被害が最も大きかった布引原地区で、両親と3人暮らし。突風の起きる直前は車を運転中だった。ワイパーを最速で動かしても、前が見えないほどの風雨だったが、自宅に被害が出るとは夢にも思わなかった。母親は出かけ、自宅には父親だけがいた。
午後7時半ごろ、帰宅した母親から「お父さんが血まみれだから早く帰ってきて」と着信。慌てて戻ると、鼻と頭から血を流す父親の姿が目に飛び込んできた。「雨戸を閉めようとしたら、がれきが窓を突き破り、ガラスの破片が刺さった」と言う。父親は救急搬送され、鼻を2針、左側頭部も数針縫った。
軽傷で胸をなで下ろしたのもつかの間、自宅は停電に見舞われていた。暗闇の中、持っていたライトをともし、夜通し部屋を片付けた。一夜明けると、被害の大きさに衝撃を受けた。隣の倉庫の外壁が飛んできたのか、壁に直径25センチほどの穴。庭は近隣の住宅の屋根瓦やバケツなどが散乱していた。
近隣の住民と協力して片付けをする中で、「人とのつながりの大切さ」を実感したという男性。手品が大好きな親戚が場を和ませるために訪れ、「たばこが消える手品」を見せてくれた。元の生活を取り戻すまで時間がかかりそうだが、「手伝ってくれ、本当にありがたかった」と心は満たされていた。【深野麟之介】